二人展《空はシトリン》|永井健一&影山多栄子|夜汽車の希求
「青森挽歌」の対照的な2つの声、亡妹トシへの願いと遺された者の哀嘆が、永井さまの2作に響き渡ります。影山さまの人形1点は、私たちをトシの無邪気な面影へと誘います。
夜の静けさが、遠くから聞こえるさまざまな声を総動員して、心にのしかかってくる。風景がびゅんびゅんと通りすぎる汽車の中、トシの姿が詩人の頭の中に往来する。
水族館のように光る窓は、焦点を集めるように降り注ぐ光として描かれている。苹果の香気が漂うガラスに閉じ込められているのは「わたし」。
たおやかな花咲く野原は、しとやかなパステル調で描かれ、賢治の想像する「明るいいゝ匂」のする夢幻を思わせる。
すきとおった空色に、ミルキーな薔薇色、ぽつぽつと光る幻灯が、トシが明け方まで見たであろうこの世の夢を伝えている。祈りの静かな瞬間は膨張し、汽車は賢治の見る夢想に満たされている。
いたずらっぽい大きな耳のような、天使の羽のようにすぐ飛び立って逃げてしまいそうな、菫色の人形。
夜汽車の沈み込むような菫色に、ぱっと光を投げる黄色の衣服。野原に咲く黄色い花を想ったトシの声は、最期の日にも不思議と軽やかだった。飄々とした茶目っ気を感じさせてくれる眉のアーチと小さなほほえみ。
永井さまの作品では、人物と風景が融合する作風が、見事に詩と溶け合っています。また、影山さまの人形の持つ幻想世界は、「青森挽歌」で賢治が夢想するこの世とあの世を自在に訪れてくれるようです。
会場風景写真|霧とリボン
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作家名|永井健一
作品名|苹果の明滅
アクリル・水彩・色鉛筆・アルシュ水彩紙
作品サイズ|20.3cm×14.2cm
額込みサイズ|33cm×26.7cm
制作年|2022年(新作)
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作家名|永井健一
作品名|みんなよるのために
アクリル・水彩・色鉛筆・アルシュ水彩紙
作品サイズ|20.3cm×14.2cm
額込みサイズ|34.5cm×28.5cm
制作年|2022年(新作)
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作家名|影山多栄子
作品名|黄いろな花こ
顔のみ石粉粘土・アクリル絵具・布・ポリエステル綿・ガラスベレット・ビーズほか
作品サイズ|身長22cm/座高15cm(羽を含む)
制作年|2022年(新作)
*オンラインショップに別ショットの画像を掲載しています
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