二人展《空はシトリン》|影山多栄子|穏やかな肯定
本記事では、『春と修羅』の世界を縦横無尽に読み解きながらも、詩にとらわれすぎることなく、作家独自の視点が優しくきらめく4作品を紹介する。
どうやら丁寧に育まれた作品のひとつひとつから、また新しい物語が生まれているようだ。ちょっとだけ、覗いてみてみよう。
詩の世界からこの世に降り立ったのは、気高きナチラナトラのひいさま。二本のとがった耳と優美な羽根をもち、ふわりくるりと不思議へ誘う。
しゅっと真っ直ぐに伸びた脚もうるわしい。うっとりと浸っているうちに、夢の中に招かれて、一緒に踊っているのを見たのは幻か。現と幻のはざまを漂いながら、優雅に踊るひいさまから、しばらく目が離せそうにない。
抱きしめたくなるような、いつまでも見守っていたくなるようなかわいらしさ。二つの詩から生まれたのは、キノコの形の小さな林のつぶがみさんと、雪が広がるお椀のなかにちょこんと座るつぶがみさん。
うれしいときだけじゃない。かなしいときにも何も言わずに寄りそってくれるつぶがみさん。今日の日もきっとそばにいて。
頭巾に黒い尾をまとい、彼らがついにやってきた!
近づいても?それとも近づかない方が?
そんな身勝手な逡巡を心の中で見透かしてほしい。
影山多栄子の作品には優しさや不思議さとともに、穏やかな肯定の力が働いている。気が付いたらそばにいてくれるような安心感。ぎゅっとしたくなる愛おしさ。詩を読む時のように、心が癒されていくのを感じる。
会場風景写真|霧とリボン
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作家名|影山多栄子
作品名|ナチラナトラのひいさま
顔のみ石粉粘土・アクリル絵具・布・ポリエステル綿・ガラスベレット・ビーズほか
作品サイズ|身長20.5cm/座高14.5cm(耳を含む)
制作年|2022年(新作)
*オンラインショップに別ショットの画像を掲載しています
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作家名|影山多栄子
作品名|ちひさな林
肩まで石粉粘土・アクリル絵具・布・ポリエステル綿・ステンレスボール・ビーズほか/敷物付属
作品サイズ|高さ6.5cm/敷物直径7cm
制作年|2022年(新作)
*オンラインショップに別ショットの画像を掲載しています
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作家名|影山多栄子
作品名|あめゆき
肩まで石粉粘土・アクリル絵具・布・ポリエステル綿・ステンレスボール・ビーズほか/敷物付属
作品サイズ|高さ7cm/敷物直径11cm
制作年|2022年(新作)
*オンラインショップに別ショットの画像を掲載しています
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作家名|影山多栄子
作品名|Ho! Ho! Ho!(緑・紫)
布・布えのぐ・ポリエステル綿・ガラスペレット・ビーズほか
作品サイズ|高さ16cm
制作年|2022年(新作)
*オンラインショップに別ショットの画像を掲載しています
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