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二人展《空はシトリン》|影山多栄子&永井健一|青い明滅――人も山猫もこっぱのこも

 宮沢賢治が生前唯一出版した詩集『春と修羅』の序詩として、賢治の詩観のみならず宇宙観をも示した作品「序」が、遊び心の溢れる2作品として新たな灯をきらめかせます。

 むっつりしたり、微笑んだり、重なったりと、楽し気に弾けている。黄水晶(シトリン)色の小さな人形たちが8体! 

 それぞれ見た目は違っても、「あらゆる透明な幽霊の複合体」として存在している。現次元も別次元の世界も行き来できる不思議な力を秘めていそうな「こっぱのこ」たちは、「現象」として捉えられる「わたし」を具現化し、大小さまざまに明滅しています。

 電燈が失われた後、黄金色の液体が結晶化して流れ続ける大地に座る山猫は、青く揺らぐ光を手に取っています。賢治の童話にたびたび登場する怪しげな山猫でしょうか。

 遠くに見える山や生い茂る木々、雲の欠片に人の営みといった見慣れた風景も銀河と一体となり、暗い空にいくつもの「幽霊の複合体」が流星となって、時間と空間の堆積の中に同じ重さで存在しています。

 通常の解釈を拒むような賢治の詩「序」をゆるやかに飛翔し、賢治の詩と童話の世界を結び付ける新たな二作。二千年経った後にも、明滅の中に光り続ける作品が生み出されました。

会場風景写真|霧とリボン

影山多栄子|人形作家 →Blog
山吉由利子(球体関節人形)、宮崎優人(市松人形)に人形制作を学ぶ。石粉粘土と布を中心に様々な素材を使い、ひとりひとり違うお話を感じさせるような可愛らしさと不思議さを持った人形作りを心がけています。[個展]2003年 「うきわ」ギャラリー古桑庵、2004年 「まくら」ギャラリーNonc Platz。以後数年おきに個展を開催。ほか企画展、グループ展など多数。2007年創作人形専門誌「Doll Forum Japan 49号」表紙掲載。2018年 作品集「遠くをみている」発行。

永井健一|画家 →HP
大阪大学文学部美学科卒業後に作家活動を開始。個展や企画展等で作品発表をしながら、イラストレーターとしても活動している。絵画に詩や写真を織り交ぜた作品「book opus」やオブジェ作品の制作、演奏会の映像演出など作品発表の形態は多岐にわたる。近年は、生の“寂しさと煌めき“をテーマに制作している。



作家名|影山多栄子
作品名|こっぱのこ序(8種)

楠・アクリル絵具
作品サイズ|高さ3~3.5cm
制作年|2022年(新作)
*オンラインショップに別ショットの画像を掲載しています

作家名|永井健一
作品名|心象スケツチ

アクリル・水彩・色鉛筆・アルシュ水彩紙
作品サイズ|31cm×21.5cm
額込みサイズ|45.4cm×37.8cm
制作年|2022年(新作)

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