Freedom~1日家出~後編
PM7時半、がっつりウンコした俺は
まず最初にディナーをすることにした
まず水筒に詰めてきたお湯をラーメンに注ぎ
3分待つ。その間に、買ってきたネギをカットして
おくことにした。すると、
あらまぁ!なんてことでしょう!
包丁を忘れてしまいました
普通ならその時点で諦めるのですが
俺はネギが大好き。せっかく買ったネギを
無駄にすることなんてできない、、、、
よし歯で食いちぎろう
丁度その頃ラーメンが完成。
ラーメンが冷めないうちにと、
急いでネギを食いちぎり、ラーメンに突っ込む
この様子を100人に見せたら100人が
気持ち悪いと答えることだろう。
ラーメンを食べる前から口の中はネギ臭たっぷり
でも寒い中で湯気をあげてるラーメンは
めっちゃうまそうなんだよね
すごい勢いで食らいつく
水筒に詰めてきたお湯は少し温くなってて
食いちぎったネギは分厚すぎて
少しも汁を吸い込んでなかったんだけどさ
状況も状況だからマジで美味しくて
あっという間に完食した
昼からろくなもん食べてなくて
超腹減っててバナナスペシャルも完食
しまいに缶詰めを平らげてディナー終了
明日の朝ご飯、りんごしか残ってません
携帯のギガは月末だからほぼ残ってないし
Wi-Fiなんか飛んでるわけもない
だから俺は地面に寝転んで
肉眼星空観察会をすることにした
俺の真上には満点の星空が広がっていた
小学生の頃もう少しまともに授業受けてれば
どれが冬の大三角形か分かったかもしれない
一つ一つの星の名前なんて
全然知らんけどすごい綺麗でさ
ずっと見てたら空に吸い込まれそうな気がしてきた
そしたらなんか野宿が良い悪いとか
どうでも良くなってきちゃってさ
母さんに対する怒りの気持ちも消えてた
星空の力、恐るべしってね
星空見て気持ちよくなって
今度はなんだか歌いたくなって
ひとりで奥田民生とブルーハーツ熱唱した
おじさんかwって突っ込まれちゃいそうだ
寒さなんかとっくに忘れ身体は燃えていた
PM22時。
そろそろテントを建てることにした
このテントは俺が昔霞ヶ浦湖を
ママチャリで一周したときに
アマゾンで2000円で買ったもの。
間違いなく冬用ではない。
軽いから建ててる途中に風で煽られるし
先が思いやられる。20分くらいかかって
テントの設営ができた。
300円で買った小さなランタンは小さすぎて
さっぱり役に立たなかった 笑
もうそろそろ外の気温は-10℃になる頃か
とりあえずもう寝てしまうことにした
おやすみ、世界
身体が痛い、痛い、ゴツゴツする
スマホを付ける。時刻は3時
結構寝たんだってことに気づく
めっちゃ寒くてトイレに駆け込んだ
駐車場にはカーセック、、、、ではなく
車中泊してる車が何台かいた
震える寒さのなかキンタマだけは温かい
星空は寝る前よりももっと綺麗になってた
180度全てがプラネタリウム
クラスの仲良い友達のラインを荒らした後
また眠った
アラームが鳴る。朝5時。
一般客の迷惑にならないように
早く片づけないといけない。
昨日の夜から、買ってきたりんごを
放置しておいたら超冷たくなってた
とりあえず急いでテントを片付ける
設営にはあんなに時間かかったのに
片付けはあっという間に終わった
すべてをリュックに詰めて
駅に向かって出発しようとした時だった
小学生か中学生くらいのひょろい少年が
近寄ってきた。
「あの、宇都宮ってどっちですか?」
俺が答える
「いや、宇都宮はあっちの方向だぜ。
ってまだ朝6時だよな??
なんでこの時間にこんなとこいるんだよ」
少年は言った
「どうしても宇都宮行かないといけなくて
隣町から歩いてきたんすよ
ありがとうございました」
いや、まてまてまてまて
隣町から歩いてきた??どうやら住んでるとこを聞くとここから10kmくらい離れてる
4時に出発してきたらしい
何者だよこいつ。
俺、そん時単純に貧乏な少年だと思って
「この寒さの中そんな格好で宇都宮行くのは無理だ
ここから宇都宮なら400円くらいだから
俺が金貸してやるよ。電車でいけ」
って言ったんだよ。だってその少年、
この氷点下の中ペラペラの長Tに中学のジャージ、
下は白い運動靴なんだぜ
そんな奴を見殺すわけにはいかない
それで一緒に駅まで連れてくことにした
結果だけ言うとこれがまずかった
あとから話して分かった。
こいつも家出少年だったのだ。
それもこいつはガチの家出。
親より先に起きて逃げてきたんだってさ
でもこいつにも色んな悩みがあったらしく
家庭内暴力とかなんとか、俺とは比べものに
ならないくらい色んなことを背負ってた
まじ、話聞いてて泣きそうなっちゃってさ
中学生のくせにこんな頑張ってんだなと思って
実は俺も家出なんだよね~とか笑いながら
話してたらいつの間にか仲良くなってた
駅が見えてきた。そこで少年が咄嗟に
走り出した。俺もそれを追う。
そしたら遠くの方からパトカーのサイレンが
聞こえてきた。あぁそういうことかって分かった
少年が口を開く
「あーあ、バレちゃいました。
クソババアが警察に連絡したんすよ
多分もうすぐ警察が俺を確保しにきます。
あとは俺が対処するんでkさんは行ってください」
俺が躊躇っていると警察が到着した
少年は家出を認め確保された。
俺も身分を聞かれたが、少年がこの人は全然
関係ない人だって言ってくれたお陰で
すぐに話は終わった。少年がパトカーに乗せられる
直前に握手を求めてきた。俺もガッチリ握り返し
お別れした。「いつかまた会おうな!
その時は一緒に酒でも飲もう!」
俺が叫んだら
「未成年飲酒は逮捕するぞ」ってドヤされた
少年は笑ってピースしてた 笑
あれから一年以上経ったが未だに街で
会うことはないし名前も思い出せない。
でもまたどこかで会いそうな気がする
その時は2人とも立派な大人になってればいいよな
こうして一泊二日の家出が終わった
親は意外とすんなりと迎え入れてくれた
母さんもかたくなに怒鳴ったりしなかった
お父さんがフォローしてくれたんだろう。
そして、また話し合ってみることにした
話し合いが良い方向に向かうといいなと思ってる