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【企画参加】夏祭り~夏の香りに思いを馳せて~ショートショート

「私が25までに結婚出来なかったら、どっちか私と結婚してよね」

君はいつも笑いながらそう言っていた。

君の心配性は前からだけれど、今から行き遅れないかと心配をするのはさすがに早いなと笑いながら、僕達は『はい、はい』と返事をした。

それもいつものことだった。

卒業したらそれぞれ違う人生を歩む。

毎日ここでこうして会うことも話すことも、永遠ではない。

君は軽い気持ちで言っていたのだろうけれど、僕はしっかりと受け止めていたよ。

僕らは一緒に映画を観たり街を彷徨いたりした。

君が他の誰かと付き合ってる時だって、僕らの関係は変わらなかった。

あ、ちょっと会う回数は減っていたかな。

卒業式の前日にも君は言ったよね「私が25才までに結婚出来なかったら」

『その時は結婚してやるよ』と言いみんなで笑いあったあの日が懐かしい。

卒業後も何度か君と出掛けた。

その年、地元の夏祭りに一緒に行ったね。

(今夜は言おう)そう決めていたんだ。

君を離したくなかった。

相変わらず君は無邪気だった。

『予定よりちょっと早いけど、結婚を前提に付き合ってください』

そう言うと、君は驚いた顔をして僕を見ていた。

「ごめん、まだ結婚は考えて無いんだ」と謝る君に

『ごめん、ごめん。これからも今までどおりの付き合いでいてよ』

君はコクンと頷いたけど、その後会ったのは一度…だったかな。

まだ言わなきゃよかったと後悔したよ。

次の年の夏祭りの頃、君が結婚するらしいと噂で聞いた。

君は25才を迎えるずっとずっと前に結婚出来たね。

今年も夏祭りが始まったよ。

賑やかな音と共にあの日と同じ夏の香りが鼻をかすめる。

僕はまだ1人でそこには行けそうにないや。

まだ、君のことは思い出に出来ていないようだ。


☆彡 ☆彡 ☆彡

こちらの企画に参加いたします。


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今日は七夕🎋

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