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哀捨て iN THE DARK 006/映像脚本+詞(コトバ)

○アニメ・緑のきれいな森の中
   木陰に、ミスフォーチュン(M)が座っている。
   そこへ、ショウワァとジョイベルズが歩いて来る。
S「あ、ジョイベルズ! 向こうの木陰に、誰かいるよ」
J「ホントだ。行ってみよう!」
S「うん」
(陽)「ジョイベルズとショウワァが急いで木陰に行くと、そこに座ってい
 たのは、オムスビウサギの女の子で、俯いて泣いていました」
J「ねぇ君、なんで泣いてるの?」
M「(顔を上げ)お願い、喰べないで! (逃げようと立ち上がる)」
S「(慌てて)大丈夫! ジョイベルズは、そんなことしないから」
M「でも…。(カラダを震わせ、恐がる)」
J「僕はオオカミだけど、乱暴なことはしないよ」
S「そのことをを、みんなに報せる旅に、さっき出たところなんだよ」
M「突然そんなこといわれても、信じられないわ」
S「そうだよねぇ…。(腕組みをして、考え込む)」
J「それより、君はどうして泣いていたの? その解決の方が先だよ」
S「そうだよねぇ!」
J「(呆れ顔で)君は、調子がいいなぁ」
S「そんなことないよ! それで、君はなんで泣いていたの?」
M「ヘンなヒトたちねぇ。(少し笑う)」
J「たちって、僕もかい?」
M「ええ、オオカミのくせにやさしいし。でも、それも罠だったりして…」
J「そうだよね。すぐには信じてはもらえないよね。(哀しそうにショウワ
 ァを見る)」
S「だから、泣いていた訳を話してよ。きっと力になれると思うよ」
J「そうだよ!」
M「私、ずっと不幸なことばかりが続いていて、明日が見えなくなっちゃっ
 たの」
S「不幸なことって、どんなこと?」
M「私を助けようとして、父と母が次々に喰べられちゃったの」
J「そうなんだ…。(ガックリとうなだれる)」
M「お友だちが出来ても、襲われそうになったら、すぐに逃げなくちゃいけ
 ないから、いつも独りぼっちだし…」
J「だったら、僕たちが友だちになってあげるよ」
M「え、でも…」
J「ゼッタイに襲ったりしないし、喰べたりしないから」
S「そうだよ! 僕が保証するよ」
M「あなただって、オオカミさんに喰べられちゃうわよ」
J「僕は、友だちを喰べたりしないよ! ねぇ、ショウワァ」
S「う、うん…。(目を逸らす)」
J「なんだよ、君もまだ信じてないのかい?」
S「そ、そうじゃないよ。でも、君はオオカミなんだよ。彼女が、君をなか
nなか信じられないのは、どうしようもないのかなぁって思ったんだよ」
J「そうか。そりゃあ、そうだよねぇ…。(顔を見合わせ、黙り込む)」
M「ごめんなさいね。私、ずっと恐い思いばかりして来たから、すぐには信
 じられないの。でも、あなたたちを信じたい! 友だちになりたい! 独
 りぼっちは、もういや!」
J「わかったよ。ありがとう、信じてくれて。その信頼は、ゼッタイに裏切
nらないよ! (女の子に右手を差し出す)」
S「今から、僕たちは友だちだよ! (右手を差し出す)
M「ヨロシクね! (二人の手を握る)」
S「じゃあ、一緒に行こう!」
M「どこへ?」
J「この森の奥へ」
M「あなたが、狂暴なオオカミじゃないってことを、みんなに報せる旅ね」
J「そうだよ。さぁ、行こう!」
三人「おー!!!」
(陽)「三人が森の奥へと歩き出すと、やさしい風が吹いて来て、森の緑を
 一層あざやかに彩って行きました。
S「そういえば、君の名前は?」
M「Misfortune(ミスフォーチュン)」
J&S「(顔を見合わせ)え、Misfortune!?」
J「それって、ホントに君の名前なの?」
M「ええ。ずっと前からそう呼ばれてるわ」
S「お父さんが、そう付けたのかい?」
M「それは、わからない。気がついたら、みんながそう呼んでいたの」
J「やっぱり!」
S「そうだね…」
   ジョイベルズとショウワァ、顔を見合わせ、頷き合う。
M「なにが、やっぱりそうなの?」
J「Misfortuneっていうのは、不幸っていう意味なんだよ」
S「まわりのみんなは、不幸ばかり続いてかわいそうなコだねっていう意味
 で、君のことをそう呼んでたんだよ」
M「えー、そんな!? みんなひどいわ」
J「その言葉の意味を、知らなかったのかい?」
M「ええ。誰も教えてくれなかったし、名前だとばっかり思っていたか
 ら…」
S「かわいそうに。ご両親は、君に名前を付ける前に襲われちゃったんだね
 ぇ…。(ため息をつく)」
J「(大声で)そうだ、こうしようよ!」
S「あ~びっくりした! 何か思いついたのかい?」
J「うん。僕の名前のJoybellsのsを、Misfortuneにあげるよ」
S「それで、どうするのさ」
J「Misfortuneのsとfの間に僕のsを入れて、Miss Fortune(ミス・フォーチ
 ュン)にすればいいんだよ!」
S「なるほど! そうすれば、不幸じゃなくなるね」
J「うん。今日から君は、Misfortuneじゃなくて、Miss Fortuneだよ!」
M「それは、どういう意味? また変な意味なんじゃないの?」
J「違うよ! いろんな意味があるけど、幸運なお嬢さんとか、幸せなお嬢
 さんっていう意味だよ」
M「そうなの! じゃあ、もう不幸じゃないのね?」
J「そうだよ。名前を変えて、心機一転ガンバローよ!」
S「そうだね。幸せを招き寄せようよ!」
M「オオカミさん、ありがとう! でも、あなたはJoybellになっちゃうけ
 ど、いいの?」
J「まったく問題はないよ。ヨロシク、ミス・フォーチュン」
M「こちらこそヨロシクね、ジョイベル」
S「(ちょっと怒って)ねぇねぇ、僕もいるんだけど」
M「もちろん、ショウワァもヨロシクね!」
S「うん。ヨロシク、ミス・フォーチュン」
   音楽7『I am Miss Fortune』イン。

○木陰のステージ
   ミス・フォーチュン、マイクの前で歌う。
   ジョイベルとショウワァ、ダンス&コーラス。

不幸ばかり続いていた私
ミスフォーチュン
この名前が悪かったのかしら?
ミスフォーチュン
でも、この出逢いが 私を変えてくれたの
ミス・フォーチュン
その名前を与えてくれた
その出逢いによって 私は変われたの
I am Miss Fortune
幸運という名前に導かれ
ミス・フォーチュン
幸せがやって来るのかしら?
ミス・フォーチュン
でも、幸運を 待っていてはいけないの
ミス・フォーチュン
それを招き入れるために
向かって行かなくちゃ!
そう! だって私は
ミス・フォーチュン
また不幸なめに遭ったとしても
ミス・フォーチュン
この名前が力をくれるから
ミス・フォーチュン
どんなことだって 私は耐えてみせるわ
ミス・フォーチュン
その名前を与えてくれた
この出逢いをきっと
ムダになんかしない
I am Miss Fortune
そう! 幸せになるために
向かって行かなくちゃ! だってだって私は
ミス・フォーチュン
   SE:風の音。
   音楽4『哀捨て iN THE DARK④』にチェンジ。
   全員、風に吹き上げられる。
♪哀捨て iN THE DARK
風に飛ばされ 闇の中
哀捨て FANTASy
闇からの脱出
Woh… Woh… Woh…
   緑のきれいな森ごと吹き飛ばされ、闇に覆われる。

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