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哀捨て iN THE DARK 002/映像脚本+詞(コトバ)

○画面いっぱいに
   台詞字幕。
(當)「私はあなた、あなたは私。そして、私はあなた方自身の声です」
(陽)「この闇は、あなた方自身が創り出しているものです」
(育)「暗黒の闇から脱け出したいのなら、あなた方の心を染めている哀し
 みから、逃げずに戦うことです」
(渚)「闇は、すべてを否定し、拒否します」
(當)「ここにいるかぎり、あなた方は生きることも、死ぬことも出来ませ
 ん」
(陽)「再び輝く光が見たいのなら、その哀しみと戦いなさい」
(育)「そして、この闇を消し去りなさい。あなた方自身の手で!」
   音楽2『光ある場所へ』イン。

○四つの
   スポットライトが射し、一人ずつその中に現れ、歌う。

独りの寂しさは恐い
ましてこの闇の深さは厳しくて
でもこの闇を脱けなければ
この闇を脱け出せなければ
暖かい春を迎えられない

何故こんなところに僕は
こんな闇のド真ん中に 留(とど)まって
何故脱け出せないでいるのか!?
この闇を脱け出せなければ
緑萌える春に廻(めぐ)り逢えない

何もかも 塗り潰す
この闇を脱け出せなければ
いつまでも いつまでも
萌える春の日に廻り逢えない

まだ光は見えて来ない
私…この闇の深さに震えてる

寒さに凍えてしまう前に
この闇を脱けてしまわなきゃ
漆黒に覆われてしまうから
染まる前に 埋もれる前に
この闇を脱けてしまわなきゃ
いつまでも ここにいたら
暗黒に覆われてしまうから

今にも闇に呑まれそうな
暗い空を 低い空を見上げては
ため息ばかりをついている
この闇を脱けて行かなくちゃ
暗黒に覆われてしまうから

何もかも 塗り潰す
この闇を脱け出せなければ
いつまでも いつまでも
この闇を脱け出せなければ

暖かい 春の日を
永遠に迎えられないし
その先の 夏の日に
決して廻り逢うことが出来ない

超えて行こう この闇を
緑萌える春に逢うために
超えなくちゃ その先の
光ある場所へ たどり着けないから

○暗闇の中に
   紫、紅、青、桜色の服を着た四人。
當「なんだかわからないけど、この闇を創り出しているのは、俺たち自身っ
 てことらしい。とにかく、この闇を脱け出さないと、二度と輝く太陽の光
 を浴びることが出来ないってことだ!」
陽「私たちが創り出してるって、どういうこと?」
育「僕たち自身に問題があるってことですか?」
當「俺にも、よくわからないよ。ナギサさんは、どう思いますか?」
渚「なんで私には、さん付けなの?」
當「いや、声の感じから一番年上かなと思って」
渚「失礼ね! とはいえ、たぶんそうでしょうね。それで、私の次はアタル
 くんかな?」
當「ええ。その次は、クレナイヒカリ」
陽「どうして私は呼び捨てなのよ? しかもフルネームで!」
當「なんとなく」
陽「あ、そ。ていうことは、一番下はハグクムくんね」
育「ハグでいいですよ。ハグクムって言いづらいでしょ!?」
當「そうだな。じゃあ、ハグ、クレナイヒカリ、俺、ナギサさんってこと
 か。でも、クレナイヒカリと俺は逆なんじゃないのか?」
陽「さっきから失礼な人ね!? 私が下に決まってるでしょ!」
當「どうだかわからないよ。なにしろ顔が見えないんだからね」
育「そういえばそうですねぇ」
育「ハグまで何よ! ムカツク男たちね!」
渚「年なんかどうでもいいじゃない。それより、どうすればこの闇から脱け
 出せるかってことを考えなくちゃ。そもそも、なんで私たちこんなところ
 にいるのかしら? これは現実なの? 四人が同じ夢を見てるんじゃな
 い?」
育「みんなで、ほっぺたをつねってみましょうか?」
陽「やってみてよ」
育「え、僕だけですか?」
陽「いいから、早く」
育「わかりました。やりますよ。せ~の! (自分の頬を思いっきりつね
 る)イッテェー!!」
陽「真っ暗闇のままじゃない!」
渚「何も変わらないわねぇ」
當「なァ、みんな! 俺たちが、この闇に覆われたのは何故なのか? そこ
 を考えてみればいいんじゃないかな」
渚「そうか! 哀しみから逃げずに戦えって、あのカタルシスは、そのこと
 を言ったのね」
育「だから、何と戦うんですか?」
陽「哀しみとよ」
育「どうやって?」
陽「そうね。どうやって戦うの?」
當「哀しみを捨てちゃえばいいんじゃないかな」
渚「人に話すことによって、怒りや哀しみは半分になるっていうわよね」
育「そっか。そういうことか」
陽「じゃあ、ハグから試してみてよ」
育「また僕ですか!?」
渚「吐き出しちゃいなさい、哀しみなんて! 楽になるわよ」
育「ナギサさんまで!? こうゆうとき、年下って損だよなァ。わかりまし
 た。やってみますよ」
陽「ハグ、ガンバレ!」
當「頼むぞ!」
渚「お願いね、ハグ!」
育「はい! (立ち上がる)」

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