御裸イ坂〜哀捨てNOTE 019/小説+詞(コトバ)
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あなたに甘えて泣いている
愛を失くした哀しみの君
あなたに甘えて泣いている
心かくして聞いている僕
ねぇ愛していたのに
誰よりもあのHiToのこと
ねぇ愛していたのに
そのHiToは君を忘れたのかな?
あの日 私が失くしたものは
愛より何より大切なものだった
ねぇどんどん好きになる
誰よりも君のことが
ねぇこんなに好きだから
忘れられない あのHiToのこと
あの日 君との廻(めぐ)り逢いが
いつのまにかこんな存在になっていた…なんて…
「その日、部屋に行ったらもぬけのからで、電話をしてもつながらなくて…。なんにも言わずにいなくなるなんて、ひどいと思わない? ひどすぎるよね?」
「ああ、そうだね」
と、當は言葉を続けようとしたが、陽はそれにかまわず、一人で話し続けた。
電話の向こう側の當は、肩をすくめ、黙って聞くことにした。
その後、二人の会話は、常に陽が主導権を握り、當が聞き役にならざるをえなかった。
しかし、當は、その状況を心地よく受け容れていた。
そして、陽は話し続けた。
「私、必死に探し回ったのよ。アイツと一緒に行った店とか、アイツが行きそうな場所とか、ぜんぶ! すべて!」
「ねぇ、少しだけ、オレの話をしてもいいかな?」
「え? ああ、ごめんごめん。めずらしいね。いつも無口だから」
「いや、無口なわけじゃないけど…。ま、いいか」