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哀捨て iN THE DARK 008/映像脚本+詞(コトバ)

○暗闇の中
   當、陽、育、渚が浮かび上がる。
育「あ、今までのよりも全然淡いですけど、とりあえず、紫色の光が現れま
 したよ」
   上空の青と桜色の光の隣に、紫色の光が淡く灯る。
當「ハグ、それを言うなら、黎明の光だよ!」
陽「カッコつけすぎよ!」
當「とにかく、ウソは言ってないってことだよ」
渚「そうかなぁ!? まだカッコつけていて、自分をさらけ出していないんじ
 ゃないの?」
當「ナギサさんまで!?」
渚「だって、そうでしょ?」
當「オレ、苦手なんですよね。自分を語るのって」
渚「私だってそうよ」
育「僕も苦手です」
陽「私だって…」
當「うそつけ! クレナイヒカリは、そんなことないだろう!?」
陽「私のこと、何にも知らないくせに! 勝手なこと言わないでよ!」
當「ゴメン。そんなつもりじゃなかったんだけど…」
陽「ムカツク!」
當「悪かったよ」
陽「ウゼーよ!って言ってよ。パターンでしょ」
當「今、言えるかよ!」
陽「そうかなぁ!? ま、いっか。じゃあ、最後は私ね」
當「ああ」
陽「それだけ?」
當「え?」
育「その名前のように、ヒカリでこの闇を融かして下さい」
陽「さすがねぇ、ハグ」
渚「女の扱いに慣れ過ぎてない?」
育「え!? フツーですよ」
當「そうかなぁ!? ま、いっか。じゃあ、クレナイヒカリ頼むよ」
陽「真似しないでよ!」
渚「二人とも、ケンカしないの。とにかく、真紅の光を溢れさせてよ!」
陽「わかりました。ガンバってみます!」

○烈の部屋・内
   何もない、もぬけの殻。
   陽、呆然と立ち尽くしている。
陽「突然、ツヨシが消えたの。昨日まで、いいえ、今朝まで一緒に住んでい
 たのに!? 今朝、いつものように一緒に玄関を出て、それぞれの会社に向
 かったのに!? 何も言わず、何も言ってくれずに、いなくなってしまった
 の」

○と或る町
   陽、走り回り、あちこちの店に入っては出て来る。
陽「私は、捜しまわったの。ツヨシと一緒に行った場所とか、ツヨシが行き
 そうな店とかを…。でも、どこにもいなかったし、痕跡さえ残っていなか
 ったの」
   音楽9『愛の夢船』イン。

○ライブハウス・外
   陽、走って来て、中へ入って行く。

○同・内・ステージ
   陽、マイクを持ち、歌う。

冷たい 冷たい雨が 私の心に降る
あんなに愛してたのに あの人は消えた
時間を戻して あの人を引き止めたい
あの日に戻って やり直したいよ もう一度
愛の夢船に乗せたい あの日のまま
激しい 激しい風が 私の心に吹く
本気で愛してたのに 消えていなくなった
時間を戻して 引き止められるならば
あの日に戻って 話し合いたいよ もう一度
激しい風よ 戻らせて ねぇあの日に
そう…あの人は同じ夢船に
乗り続けたいと言ってくれた
なのに一人で降りてしまった
カゲもカタチも もう見えなくて
前に進めず 沈没しちゃった

○同・客席
   育、渚、當が座っている。
育「(小声で)なんか、かわいそう」
當「ああ」
渚「…(頷く)」

偶然 二人で同じ 夢船に乗り込み
いつしか恋が芽生えて 愛を始めてから
見つめ合い 語り合い
触れ合い 感じ合い
抱(いだ)き合い 融け合い
二人愛を深めたけれど
激しい風に吹き飛ばされ 海に落ちた
そう…あの日から違う夢船に
乗ってしまった二人だけれど
もう一度 夢船を浮かべて
二人の愛をやり直したい
だけど…もうあの日には帰れない
あの日々は戻って来ないこと
知っている 解っているけれど
愛の夢船はどこかにある
そして…いつかどこかで逢えると
そう信じていたいだけ
いつか きっと
   陽、その場に座り込む。
(當)「クレナイヒカリは、一緒に住んでいた男に、突然、消えられた。何
 の前触れもなかった」
(育)「というより、同じ夢船に乗っているとばかり思っていた。それなの
 に、何故? その答えを聞きたくて、ヒカリは男を捜しまわった」
(渚)「男と一緒に行った場所。行きつけの店。心当たりのところには、す
 べて行ってみた。しかし、痕跡すら残っていなかった」
   音楽10『つないだ手』イン。
   陽、ゆっくりと立ち上がり、歌い始める。

つないだ手 離してしまったのはあなた
握り返さなかったのは私?
終わってたのかもしれない
終わらせたのかもしれない
二人の愛 あの瞬間(とき)
いつまでも続くと思っていたけれど
   當、立ち上がり、ステージに上がり、マイクを持ち、一緒に歌い始め
   る。

はじまりの きっかけの告白はあなた
目を伏せてうなずいたのは君
想いを寄せ合っていたから
だからすぐに燃え上がった
二人の愛 あの瞬間
永遠に続くと信じていたけれど
   間奏。

○客席
育「アタルさん、参加しちゃいましたねぇ」
渚「ええ。共感するものがあったのね」
育「はい」

○ステージ
   陽と當、歌う。

なのにあなたは消えた
君の前から突然に
何も言わないでつないだ手離してしまったのは何故?
握り返さなかったのは何故?
終わりを感じていたのか?
終わらせようとしてたのか?
二人の愛 その瞬間 消えてしまいそうに揺れていた残り火
終わってたのかもしれない
終わらせたのかもしれない
二人の愛 その瞬間
つないだ手 あんなに簡単にほどけた

○暗闇の中
   當、陽、育、渚が浮かび上がる。
育「あ、見て下さい! 赤い光が」
   上空に、紫、青、桜色の光の間に、紅色の光が灯る。
渚「ホント、輝いたわねぇ」
陽「ハグ、赤じゃなくて紅(クレナイ)よ」
當「クレナイヒカリかぁ。って、名前のまんまじゃん」
陽「悪い!?」
當「別に」
陽「ムカツク!」
當「ウゼーよ!」
   SE:ものすごい風の音。
   音楽4『哀捨て iN THE DARK⑤』イン。
(育)「すると、またものすごい風が吹いて来ました」
   四人、風に吹き上げられる。

哀捨て iN THE DARK
闇の中の 森の中
哀捨て FANTASy
祝福の鐘を鳴らそう!
Woh… Woh… Woh…
   四人、吹き飛ばされる。

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