【詩】 感謝
膨らんではしぼんでく心に
漢方薬は効かなくて
ケンカのあとの
ラジオからの
中島みゆきの「糸」
チンしたパスタ
牛乳を入れ過ぎた紅茶
全部に温度があって
このちっぽけな感情の
行方を
気にしたり
自分の鼓動に
耳をすまして
その不思議を
考えてみたりして
日長一日が過ぎていくのを
「過ぎていくんだ。」と
自分に言い聞かせたり。
有難い、が、
有るのが難しいと
言った誰かを思い出して
わぁっとなって
細胞が開いたり
開いた細胞が
脈々と受け継がれてることを
ごめんの代わりに
言えばよかったと思ったり
そしてそのバトンを
私は繋ぐことができないと
泣けばよかったと思ったり。
冬の底抜けに明るい空の
したのしたで
小さな私は
小さな声で
「ありがとう」って
土に向かって空へと帰す。
何のためにでも、なく。