掌編小説【目は口ほどに】♯毎週ショートショートnote
お題「メガネ冠婚葬祭」
【目は口ほどに】(410文字)
人には「生老病死」という四苦があると釈迦は言った。
てことは、人生丸ごと「苦」ではないか。『冠婚葬祭』とは、延々と苦しみが続く人生の、節目を彩る行事にすぎない。
『冠』成人式は苦行だった。会うのは嫌いな奴ばかり。
『婚』何を考えてるかわからないと言われて離婚した。
『葬』じいちゃんは大好きだった…。
『祭』法事には親戚が集まるが、皮肉屋の俺は嫌われている。
そんな事を思い出して憂鬱になっていたら『メガネ冠婚葬祭』という広告を見つけた。
どんな場にも合うデザインで、業界初の機能が付いているという。
説明には『シニカルで人間関係に悩みがちな方ほど効果あり』とある。
俺のことじゃん。
興味をもって注文したら、結果は大成功だった。
そのメガネをかけると、その場にふさわしい目の表情になるのだ。
時に悲し気に、時に愛想良く、優し気に。俺は人とぶつからなくなり、人生に『楽』が増えた。
結婚も…もしかしたら今度はうまくいっちゃうかも?
ほくそ笑む、目。
おわり
(2023/4/4 作)
『たらはかに』様の4/2~4/9のイベントに参加させていただきました☆
裏お題にトライするのも習慣になりました~
ある意味、かなりヘヴィな脳トレになってます…(;・∀・)
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