掌編小説【エクササイズ】♯毎週ショートショートnote
お題「ダウンロードファーストクラス」
【エクササイズ】(410文字)
「お母さん、ほっぺたたるんできたね」
ちょっとした事で口喧嘩した時、高校生の娘から心無い言葉を投げられた。
言うに事欠いて相手の身体的欠陥を指摘するのは卑怯だぞと夫から娘に指導があったものの、その言葉も傷口に塩をすり込まれたようなものだ。
あなたもね、と言ったが夫は目を逸らしていた。
でも、確かに言われた通り…。悔しいので無料クーポンを使ってフェイササイズ講習会に参加してみた。
「みなさん、お顔は鍛えないとドンドンたるんでしまいます。まずこの言葉で準備運動を」
インストラクターが叫ぶ。
「ダウンロードファーストクラス!」
意味わかんないけどセレブ感があるわね。
「母音では、あううおーおあーうおうあう、ですね。これがいいんですよ」
オッケィ。
「でもこれだけでは足りない母音があります」
そうね、「い」と「え」が足りないわ。
「ですので、仕上げにはこの言葉を」
インストラクターが再び叫ぶ。
「ダウンロードエコノミー!」
せっかくのセレブ感が…。
おわり
(2023/3/6 作)
『たらはかに』様の3/5~3/12のイベントに参加させていただきました☆
あこがれのファーストクラス来世かな(自由律俳句風)。
新幹線のグリーン車には、一度だけ乗ったことがありますが、こじんまりとした体格のため、広々した空間がほとんど無駄でした…(;・∀・)
基本設計がエコノミー。
のぞみよりのんびりこだまがこのみだし(自由律俳句風)。
この記事が参加している募集
おもしろい!と思っていただける記事があれば、サポートはありがたく受け取らせていただきます。創作活動のための心の糧とさせていただきます☆