【小1の壁①/音韻】小1国語でつまずくところとは【文字の読み書き支援法】
以前、小1・小3・小5の壁について記事にしました。
今回は小1国語でつまずきやすいところがどこにあるのかを解説し、小学校入学後つまずかないようにするためのより具体的な対策法、「ぶつかってしまった」かもしれない子どもたちの支援方法についてお伝えします。
【学習進度と壁】
こちらが、小学校6年間の学習進度です。
進み方は一定ではなく、ゆっくり進む時期と早く進む時期があります。
この早く進む時期に「壁」にぶち当たり、そこで学習が足踏みしてしまう子どもたちがたくさんいます。
【国語の小1の壁とは】
学習は、ご存じのように基礎があって、それを発展させた次の単元、というようにピラミッド型になっています。
ぶつかるのは、そのピラミッドを構成している何かしらの単元が抜け落ちている、もしくはあやふやなために起こります。
就学前~小1の国語の学習ピラミッドはこのように構成されています。
【ピラミッドの構成】
①読み聞かせ(音→文字)←今回はココ
②音読(文字→音)
③ひらがな(の書き)
④カタカナ(の書き)
⑤小1の言葉の意味(語彙)
⑥ひらがな・カタカナ混じりの文の読み
⑦小1の漢字
⑧小1の漢字・ひらがな・カタカナ混じりの文の読み
ピンク色は就学前に生活の中や保育園、幼稚園などで学ぶ内容、水色が小1の学習内容になります。
まず最初の段階は①の音を聞いて文字に変換する力=音韻です。
就学前、子どもたちは絵本の読み聞かせなどによって、まず言葉の音を知り、文字を見ます。これを繰り返すことによって、音と文字が結び付きます。
その次に、文字を見た時に頭の中で音が出る状態になります。「り」という文字を見たら頭の中で「り」の音が出る状態です。
しばらくすると、「り」という音を聞いたら頭の中で「り」という文字が思い浮かび、読めるようになります。つまり、音を文字に変換できる、これが音韻の力です。
例えば、アラビア語が読めない書けないのに、いきなりアラビア語の文字を書いて覚えろと言われても書けないですよね?
音韻の力があるからこそ、「り・ん・ご」という言葉を聞くと、「りんご」と文字理解をして読めたり書けたりするようになるのです。
が、音韻の力がついていないと頭の中で文字が浮かばない、音から文字に変換できないので読んだり書いたりが出来ません。
これが小1、文字が書けない壁です。
国語の「小1の壁」は小学校入学後、ひらがな学習が始まり、なかなか書けるようにならないことから遅れを知るパターンが多いため、早くて小1の修了時、だいたいは小2後半、遅いと小3になるまで気づかれないこともあります。
この壁にぶちあたるということは、私の経験上何らかの特性を持っていることが多いので、適切な学習支援を入れないと勉強が身につかないことがほとんどです。
そのため、小学校入学前にひらがな学習をさせるのには意味があり、音韻の力がついているかどうかを知る機会になりますし、ついていないことが入学前に知れば対策することができるのです。
【音韻の力の付け方】
■文字と音の一致
すでに小1ないし小2になって文字が書けないとわかった際、どういった対策をすればよいのか。
「絵本の読み聞かせ」と「文字カード」などで文字と音を一致させる練習をすることです。読み聞かせは重要なので、図書館などでさまざまな絵本を借りて、その子の好きなタイプの絵本を探し、ひたすら読み聞かせます。
文字カードとは、その名のとおり文字が描かれたカードで、保護者もしくは支援者がその文字を発音しながらカードを見せることによって、文字と音を一致させる訓練に使われるものです。
私の個人的な意見では、最初は下のようなシンプルなものがよいです。
↑このカードは私の事業所でも使用しているのですが、イラスト付きなので「いぬ」の「い」なんだと、イメージ化し理解しやすいよう工夫されています。大きい書店だと販売されていると思います。
ネット上でもフリー素材として公開されているものもあります↓
印刷をしてラミネートしています。
ただ、子どもの特性によってはイラストつきだと文字を見ずに絵を見てしまうので、そういった子どもと遊ぶために、私は文字だけのカードも手作りしています。
ちなみに裏面はカタカナにしています。
一枚でひらがなもカタカナも学べて一石二鳥(関西人)。
50音だけではなく、濁音(だ、など)や撥音(ん)も作ってます。
■拗音・撥音・促音の音韻を身につける
普通の音(清音:あ、濁音:だ、半濁音:ぱ)は理解できても、拗音(しゃ)・撥音(ん)・促音(小さい“っ”)が理解できない、ひっかかる子はとても多いです。
そういった場合は、言葉の音を記号でビジュアル化する「モーラカード」を使って、文字を●や▲などの記号に置き換え、言葉の感覚を捉えます。
(手作り感満載ですみません。。。)
・基本的な4種類の記号
左上:●(大きい丸):清音・濁音・半濁音(あ、が、ぱなど)
右上:●-●(大きい丸と小さい丸を線でつなぐ):拗音(しゃ、しゅ、しょなど)
左下:□(白抜き四角):促音(小さい「っ」)
右下:▲:撥音(ん)
下:-:長音(伸ばす音。これは記号ではなく文字なので黒色にしてます)
本来のモーラに長音はないのですが、このカードがあった方が単語数も増えますし、わかりやすいので入れています。
・使い方
文字をビジュアル記号に置き換えるゲームをします。
(例)「コップはどのカードでしょう?」
→● □ ● の順で並べられたら正解。
(問題例)
・きゃべつ … ●-● ● ●
・でんしゃ … ● ▲ ●-●
・がっしょう … ● □ ●-● ●
どんどん文字数を増やして記号化できるように練習します。
ある程度できるようになってきたら、今度は記号から文字に変換できるクイズを出します。
(例)「●▲●」で何か単語を作ってみよう!
→ こんぶ、トング、サンタなど
これも、慣れてきたら記号数を増やしていきます。
(例)● ● ▲ ●_● → じてんしゃ
● ●_● ● ▲ → としょかん
●_● ● ● ー● → ちょこれーと
こういった楽しい遊びを経験しながら、音韻の力をつける取り組みを行っています。
【まとめ】
今回は国語の最初の壁「音韻の力」の支援方法についてまとめました。
音韻の力はピラミッドを見ていただくとわかるように、国語力のすべての土台になる部分です。
ここがしっかりと身につかないと、ひらがなやカタカナがなかなか書ける状態にはなりません。
根気強く、でも楽しく遊びながら教えていくことが、早く身につくポイントになるかと思います。
今後もこのような具体的な支援方法を記事にしていきますので、ぜひまたお立ち寄りください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
↓「小1の壁」シリーズの記事をマガジンにまとめました。読んでいただけると嬉しいです↓