『コメント部隊』チャン・ガンミョン

チャン・ガンミョン(장강명)作家の『コメント部隊(댓글부대)』を読みました。(未邦訳) 『クソリプ部隊』って感じかな?と思いましたが、そういうわけでもなかったです。

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新村のオフィステルに同居する3人の青年が、謎の機関から依頼を受けます。仕事内容は、リベラル派の人間の集まるインターネットの掲示板を荒らして閉鎖に追い込むこと。依頼主は掲示板を通じてリベラル派が連帯し、力を持つことをそうとう警戒しているらしい。

9章に分かれた物語は、3人の青年たちの生活を描いた部分と青年の一人찻탓캇への取材インタビューで構成されています。不正操作に成功して報酬をもらうと、決まって酒場(と風俗店の区別がつかない業態)に繰り出して女性を買います。物語が進むにつれて、찻탓탓がどうして新聞記者のインタビューを受けているのか、その意図もだんだん見えてくるのですが。

不正操作の内容も、女遊びの内容も生々しくて露悪的です。ネットスラングと下ネタが多くて、読むのも大変。特に酒場で働く女性たちについて、女性経験の少ない3人の視点から描くので描写しきれない点があるのは仕方のないことなのですが、金にだけ執着する味噌女(テンジャンニョ)として描いていることもあり、この作品はだいぶ批判もされたそうです。
「ペク・カフムみたいな?」とたずねたところ「そうですね、似てるかも」だそうですが、
ペク・カフムは常に露悪的ですからね…。2015年といえば『韓国が嫌いで』を書いた年。チャン・ガンミョンってこういう作風もあるんだ!と驚きました。背景には、2012年李明博政権下の世論工作疑惑があるのですが、知ってしまうとこれもまた完全に他人事とは思えない部分があります。

内容がエグいので、好き嫌いが別れると思います。それでも悪の中に真実があるのでしょう。この『コメント部隊』で、チャン・ガンミョンは第3回済州平和文学賞を受賞しています。


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