「時間がない」
天から神々が下界を眺めている。
神にとり人間は、UFOキャッチャーのパンダだ。
男と女の二人の神がゲームを始めた。
勝った神が言う。
「この二つの人間を恋人にしてみよう!」
選ばれた人間の男女は広いキャンパスに設置され、
ゲームは再び始まった。
大学のキャンパスに置かれた人間二人の駒は
正反対の性格の持ち主だった。
男はかなりおっとりしたマイペース型。
女はと言うとせっかちでいつも急いでいた。
彼女は広いキャンパスを自転車で急いで移動して次の授業を受け、
彼は余裕を持ってゆっくりと歩いた。
二人には、全くと言える程に時間のすき間が無かった。
ふーむ。
ため息をつく神たちは、
「雨を降らせてみよう。これでは巡り会う時間もない。
何かが変わるかもしれない」と。
しかし、彼女は雨の日も傘をさし、自転車を急がせて移動していた。
その時、摩耗したタイヤがスリップして倒れかけた。
おっとり歩いていた彼は、彼女を腕で支えた。
二人の神は手を叩く。
「大丈夫ですか、いつも急いでいる様だけれど」
「倒れて怪我をする所だったわ」
「少し休んでから授業を受けてはどうでしょう」
「そうね、あの授業を受けても大して役にたたなそう。
それこそ時間の無駄ですものね」
Fin
オリジナルストーリーNo.9
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