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はーあ。
『カミサマ』になるなんて、ホント。ハズレクジ以外の何者でもないわね。
そりゃあ始めは
『まさかカミサマになれるなんて・・・ああ、生きてきて一番の幸福だわ・・・好き勝手できる・・・あ。もうわたしって、死んでいるんだったわね』
なんて思ったわよ。
でも現実はそうじゃなかった。こんなの詐欺よ!
カミサマになったからって、イチバンになれるわけでも、好き勝手できるわけでもなく、まして下僕とか特別な力とか・・何にも授からなかったわ!!
挙句の果てには監禁されて、主導権を握られた上、好き勝手にもてあそばれてるってどういうことよ!!
こんなの、生きてきた中で一番の不幸よ!!
もう死んでるけどね!!
そう思いながら背もたれのある椅子にドカッと勢いよく座り込んだ。
「・・・・・だからってアタシ、何の罪もない純真無垢な子に八つ当たりなんかして・・・どうするのよ・・・こんな、こんな不幸、これ以上増やさなくて結構よ・・・」
顔を覆い、溜息をつきながら背もたれに寄りかかり天井を見上げた。
どうやらアタシはこの頃、覚えのない行動の連続によって、年の変わらない女の子を洋館に監禁したらしい。
水晶玉にはその結果が映し出されている。
「・・・どうも最近、前にも増しておカミサマの強制が、厳しくなってる、のよね?これ、アタシが勝手にして、記憶から消してるわけじゃ・・・ない、わよね?」
ここに閉じ込めたカミサマの上のナニカ――アタシは『おカミサマ』って呼んでるけど――アレの所為でアタシの毎日は滅茶苦茶よ!
時々記憶なくなるし。
多分その時に強制されて、あれこれさせられているんだろう。
おまけにサソリかなにかの尻尾?みたいなのまでついて。
何の趣味なのよ!
もちろんコスプレみたいに、この尻尾の感覚がないわけじゃない。
神経でも入っているようで、触ると触った場所がよく分かるし、針金も入っていないのに自在に動かせる。
ホント、見た目だけなら立派なサソリのカミサマね。
おカミサマはアタシをセクシー路線にしたいらしい。
露出の激しい悪役の姫みたいな格好させて、髪もポニーテール。
ちなみに髪はほどけない。何故なら縛っているゴムがないから。
どうやらおカミサマパワーで髪型を好き勝手に固定できるらしい。
たまにお団子にされたり、赤髪に色のキツいメッシュが入ったり、ショートにされてたりする。
アタシは人形じゃないっての!不愉快!!
「でもどうしよ。この子出してあげたほうがいいわよね・・・?」
小さな机の上に置かれた水晶球に映る彼女を見て、気の毒になった。
確かにアタシは、今ここで監禁されてるわ。でもだからといって、知らない子を勝手に閉じ込めていい訳が・・・・ない。ない、ないの!いいわけがないのよ!
なんだろう、今なにか頭を掠めたような。
でも。
やられた分を本人にやり返すならともかく、八つ当たりはいけない、ハズ・・・よね?
なんだか解らなくなってきたわ。
でも、野蛮ね。こんな行動。
この子にした行動が、おカミサマと同列だと思うと、とたんにやる気が湧き上がってくるわね。
アタシ、これでも女の子だし。なんか女らしく無くなっちゃったけど。
でも・・・ああ、もう!四の五の言ってないでとにかく出してあげなくちゃ!アイツと同列はイヤ!!
「まずは・・・情報収集!本ね!」
頬を叩いて覚悟を決めると、扉の前に立って、スゥゥっと深く息を吸い込み、大声を出した。
「おカミサマ!何でも言うコト・・・一つ聞きます!だから、アタシを資料室に連れて行ってください!」
五分のあの娘が羨ましい。あの娘はまだ幸せね。
お洋服も髪型も、部屋の出入りさえ、自由。
ちょっとだけ、貴女が妬ましいわ。
そう思いながら、おカミサマの回答を待った。