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「偉いわ~!抑えたのね!!いい子いい子してあげるわ!よしよ~し!」
なんだか悪意を感じる言い方で、彼女はリジェの頭をなでた。
「やめろ!」
あれから体感で一ヶ月近くの時間を経て、リジェは克服した扱いとなった。
そうしたらまた――ノノカさんが現れた。
「・・・よく、頑張りました。これで晴れてあなた達は、生き返れるわね。」
そのノノカの指示の元、豪華な客間に通された。リジェが、おカミサマの部屋だ――とつぶやいた。
「せっかくだから二人の見た目も似た感じにしといてあげる。上手くいったら、生前会ってた人に気づいてもらえるかもね」
なんて笑いながら山のようにある、手続きの書類か何かにサインをして判子を押していく。押された紙たちは鳥の形に折られ、どこかへ飛んで消えていく。
「ン?あれ!?ボクのフェアリーちゃんたち、みーんな巣立ってっちゃうの!?」
ビクッとリジェのからだが固まった。もしや、と思いながら振り返ると、そこには無精ひげを生やした、人間が百人くらい乗れそうな大柄な男が、うるうると目を潤ませながら、両手で鞭を握り締めていた。
「・・・きたよ、おっさん」
ノノカの柄がすっと悪くなった。どうやらスキじゃないらしい。
「やだなあ、さみじいよお゛~・・・でもま、新しく連れてくればいっか!」
「・・・ノノカ。前々から思ってたけどさ、なんでコイツがよくてアタシがダメなの?」
ノノカは足を組んで葉巻に火をつけてぼやいた。
「『コイツが全ての法でルールだから。』・・・・なんてのはウソで、コイツ、神様でもなんでもないから」
「は!?」
「え・・・?」
ノノカは手元を見もせずにサインと判の作業に戻ると、そのままこちらを見たまま続ける。
「アイツ、この施設の一人目の更生させようとした奴なんだけどさ、結局治んなくて、治す気も、リサみたいに差し伸べてくれる手もなく、ずーっとこのまま。だからこいつの管理してる神様が手を焼いて、アレコレ諦めてやらせてんの」
それをきいたリジェがほんの少し目を輝かせた。
「その人生も悪くなかったかもしれない・・・」
「リジェ、悪い、その人生」
しりとりのおかげか、リジェに即座に軽口が叩けるようになった。
「・・・うん、悪いな。やっぱりこっちがいい。管理されるのもスキじゃないし」
そんな会話の中、ノノカの机から、紙がなくなった。
「はい。おしまい。次はもう、ストレートで審査通ってね!」
なんだか晴れやかな表情で、ノノカがいった。
「ありがとう・・・・ごめんなさい」
リジェがノノカさんに頭を下げた。
「・・・ま、その言葉が自分から出て来るっていう、成長が見れてワタシはうれしいけどね。努力家のリジェさん?」
悪戯っぽく目を細めて、ノノカさんは笑った。
横のリジェは安心しきったように笑うと、ふと思い出したように私の服を引いた。
「そういえば、聞かなくていいのか?その服のこと」
「・・・あ」
すっかり忘れてた。
「・・・ノノカさん。」
「ん~?なぁに?ネグゥ~」
おかしいな。さっきまでいい感じだったのに、急にあのオカミサマみたいな感じがしてきた。
「この服って・・・誰が?」
「ああ。アタシの友人。ちなみにリジェのも。二人の生き様に感化されてつくったんだって」
よかったわね、知らぬ間にファンが出来てて。と彼女はにんまりとした。
そしてチラッと別の方向を向いて、またにんまりとした後、手を振った。誰かいるらしい。
「と、いうわけで!二人ともひたってないでさっさと行ってきなさい!」
と、席をたって私とリジェの背中を押して進むノノカさんと
「ええぇ!まだ行かないでぇ~」
という声に押し出されるようにして、私達は進んだ。
白い、真っ白な、雲が敷き詰められたような部屋。その奥に、大きな両開きの扉が、二つある。
「ここで別れちゃうんだね。ごめんね、言っていいことじゃないけれど、楽しかった」
そう微笑んで見せると、リジェはなんだかうれしそうだった。
「こちらこそ。アタシっこそ、ここまで連れて来てくれたネグに、散々酷いことしたし、言えた義理じゃないけど――充実してた」
そういって扉に手をかけた。
「じゃあ、また・・・次の世界で」
「くふふ・・・・なぁんだ、リジェも、粒子の可能性を信じるのね」
そんな風に笑ってみると、そりゃあ、ネグに散々見せつけられたからね。なんていうリジェ。
「じゃあ、また、後でね。きっと会いましょう」
私は楽しみが増えた、と扉を開けて中へと、消えていった。
さあ、新しい私はどんなのだろう?