草むしり孤撃ち


蝮も潜む草むらをゆく
果樹を覆う葛や華や藪がらし、萱にイラクサ
ぎっしりと暗号のつまった広大な私有地下から
次々にあらわれる草に囲まれて
その草の再生をむしるという行為は追い越すことができないという事実が
次々にからまる
ひとりで草をむしれる広さはたかがしれている
この土の産出をとめることは容易なことではないだろう

それでも
妄念や煩悩や失意や欲望が
むしってもむしっても無尽に違ってくる
ひとりでは手におえない
広大な、そして愛しい
この額と膝と胸を撫でてやろう
ひとりでむしれる時間は限られているのだから
そして
春のぬくみと慈雨をけして絶やすまい

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