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コクゾウムシ

静止した保存された隠された暗い蔵のなかから
きこえる 極々小さな音が
時のひと粒ひと粒を齧る顎の音が
いや
生のひと粒ひと粒を齧る時の音が
私は
陽にさらして逃げまどう、その黒く小さな硬いものを ひと粒ひと粒つぶすのだが
暗い蔵のなかからきこえる音がやむことはない
私が袋につめた明日が
崩れてゆく小さな音が

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