樹
靴をぬいでぼおっと立って
足の指と爪と風がどんどん伸びて土にめりこんでいって
皮膚は褐色に染まりそして分厚くかたくなる
両足はそのまま癒着して一本になり
のばしたままの腕の関節は固くなって動かなくなる
呼吸と拍も緩やかになり
肺は風の起点であることをやめる
樹はうたわない
樹は問わない
樹は地から私というものを区別してとりださない
樹は樹のそとに根拠というものを区別してもとめない
だから
梢の中で鳥はうたい
人にとって樹は道標であり
果実は種を宿した喜びです
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