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産婆の手のひらに上陸して以来 
土のうえをころがりつづけた俺の
 汚れた泥と汗は冷たい水で幾度も洗われた

水の中ではけして聞くことのなかった
 乾いた鈴の音が好きになった俺は
 土の上で鈴をつくろうとした

塊を空洞にする技術も
 狭い切れ込みのなかに丸い玉をいれる技術もしらない俺は
 ひたすらむなしく丸い泥を振り続けた

泥水に流され沈み圧縮され
豆粒ほどの殻になった俺の 
空洞の中に骨は黒く乾いた玉になった 
発掘されたその鈴の音を俺は聞く事はなかった

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