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いくつもの矩形が淡く灯る夜に
カーテンの向こう側で
密会を謀議を孤独を 照らしている
そのひかりは
誰も歩かぬ夜道を照らさない
誰かの向かう方角を指示しない
なにものにも警告しない
そのひかりが好きだ

夜明けに壁に開く白い矩形
目覚めたものになにも指示しない
出てゆく扉を照らさない
そのひかりは
窓のむこうで鳥たちの羽と睦言
鯉の鱗と独白を照らしている
そのひかりが好きだ

一面に分厚い雲をかけられた灰色の空
神々や精霊の晩餐や愉悦を
照らしているだろう天上のひかりは
雲の下で
誰もが進む道と方角を照らしているが
わたしはどこにも歩いてゆけない

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