
お湯
炎と水との境に
うすい金属製のヤカン
直接まじわれば
互いが消えてゆく
炭化した黒い欠片と
蒸気を残して
ヤカンがヤカンであるため
ナベがナベであるため
叩きのぱされた燃えない融けない形がその形であるため
そこに穴が存在しないため
炎は炎で有り続け
熱だけが交換されて
ヤカンは蓋をグツグツ鳴らし
あつい湯がうまれる
その湯のようなものが
からだの内も外も温め、そのからだを奇麗に拭えるから
私は穴のあいてないものを
ヒビの入ってないものを
とけてしまわない素材を
あれこれ探して彷徨う
しかし
私は私のなかの赤い炎を
澄んだ波をひろげるこの水に触れさせたい
海の中に燃えたぎる炎を
炎の峰を蛇行する蒼い川を
私は見たい