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基岡夕理(きおかゆうり)
2022年9月1日 20:33
暑いでも寒いでもなく四月のような朗らかな気温と柔らかな日差しを感じ、同時に、なぜか直立していることに気づき、私はすっと目を開けた。燦々たる太陽の下、私は、断崖絶壁に立っていた。もっと言うと、あと一歩で転落する位置で両足を揃え、俯いて見下ろしている。何メートルか下を雲が漂っていてスカイツリーよりもずっと高そうだ。その遥か奥にあるのは真っ青な海。えっ……⁉全身が硬直してしまう。直後、わっ