億ションを”うさぎ小屋”と言う毒親とその資産を強奪した虚構系インスタグラマーの話。(『泥から蓮』サンプル)
以下は拙著『泥から蓮』の一部を成す母親のセクションから持ってきたものです。単なる毒親と虚構系インスタグラマーに関する読み物として、サンプルとして御覧ください。2024年7月31日まで『泥から蓮』は無料でダウンロード出来ます。
ウサギ小屋
母の住居に関する感覚についても少しだけ触れておこうと思うが、昔から近所の東京ドーム数十個分はあろう県営の公園に行くと
「家はこれぐらい広い方が良い」
と本気で言っていた。子供の頃は聞き流していたが、今思えばすごい欲望にまみれている人だったのだなと思う。
その後色々とある中で”貴人が来ても恥ずかしくないように”、と母の建てた家が結果的には収容所のように機能することになり、前述したようにその場所であらゆる災いが母を痛めつけた。20年以上快適な家を夢見て壮大な計画をしたものの、自分で自分の収容所を作るという皮肉な結果を迎えたのである。
立って半畳、寝て一畳。人は自分の土地だ家だと執着するけれども、この世界に生きる間の借り物に過ぎないことを気付かねばならない。
その収容所的な実家を脱出した後の高級マンションについても事あるごとに
「こんな家はウサギ小屋だ」
と罵っていた。私としては当時名古屋市内で最も高級と言われるマンションを用意したことは、自分の中での最善であったし、そのことについて罵られるのはとても不愉快だった。一億円以上出して私はウサギ小屋を買ったのか。
そのマンションを購入する前、いくつかの高級な土地の物件を母と見に行ったりもした。高級住宅街の物件も見せたが、もちろん、母のお眼鏡に叶うような土地は無く、あれがだめだ、これがだめだ、と不満しか言わなかった。見せても見せても全く気に入ってもらえる気配が無いので
「もうそれなら石油王とでも結婚しないと無理だと思うよ。物件の数も、広さも、市内であれば限られているし、その中で選ばないと・・・」
この一言で母がいつものような癇癪を起こすことは無かったが、その後ずっと何かあれば
「あの時私は傷ついた」
と静かに言い出すことがありとても不気味だったのを覚えている。もちろん、それは傷ついたから息子のお前が悪いのであり、私に対して服従しろ、奴隷のように働けと言って息子を操作・支配するため、「傷ついた、傷ついた」と連呼していたに過ぎない。後年、母が受け取るべき資産を含めた一族の全財産を強奪し、一銭も相続税を納税せずに放置した結果その全財産を差し押さえられて失い、破産し、刑事告発される次男であるコオニが”石油王”と名乗って虚構を垂れ流すインスタグラマーとして活動するのであるから、皮肉なものである。
面白いことに、”ウサギ小屋”と罵られたその脱出先について、たまたま母の乗ったタクシー運転手が褒めるということがあったらしい。
「奥さん、名古屋でこんな良いところはありませんよ。本当にね、建物の周りの緑やアプローチ、普通ではこんなものは無いんです」
母は滅多にタクシーなど乗らない(乗れない)のだが、
「この場所をタクシーの運転手が褒めていたのだけど、本当にそうなの?私には狭苦しいだけの場所だけど・・・」
と私に言っていた。その後そのマンションを「こんな場所はウサギ小屋だ」と罵ることは無くなったので、私はそのタクシー運転手には密かに感謝している。毒親の性質としてよくあるらしいのだが、家族の言うことは信じず、他人の言うことはすっと聞くというそれは母だけで無く、オニもそうであった。また、コオニもそうであろうという予測から、前述したようにコオニの嫁に協力を仰ごうとしたところもある。
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