落ち着いたら歩き出そう
健康を執拗に気にするひとがいる。
僕はあんまり健康について考えたりはしないのだが、その健康さんはこな風に言う。
「若いうちは考えることなんてないんだから」「健康じゃなかったらなんにもできなくなるよ!」
確かに、言わんとしていることはわかる。
しかし僕は思う、「健康を特約されているものもこの世には存在しないだろうに」と。
なんなら全くのビンビンで健康マンだったとしても風邪くらいはひいたりするじゃないかよ。
それに、犬も歩けば棒に当たるし、猿も木から落ちる、泣きっ面に蜂で、黙って歩いていたってケガくらいはするし、仕事で失敗する事もあれば、上司に叱られて心に傷を負うことだってある。
全く苦しまないで生きる事なんて不可能だと僕は言いたいのだ。
そう言うとだいたいこうやって言い返してくる。
「その苦しみを和らげるのよ!」
は、はい…。
ま。まぁそんなにムキになんなって。
そう。
ムキになったり、ヤケになったりせずとも、「わかることだけ考えたらいいじゃないか」と、そんな風に思っている。
じゃあ例えばだが…
3年後の収入はわかったりするかい。
仕事は安定しているのか。
同じ時期、何食べてると思う。
髪の長さとか体重とかわかるのか。
誰と生活しているんだよ。
友達は何人いるのよ。
何にハマってるかわかるのか。
誰にもわからないでしょ。そんなの。
酒も毎日、タバコも毎秒やっているあのおじいさんだって89歳まで生きたって、こないだ自分で言ってたし。
あと1年で90だったのにねぇなんて言ってはいるが、普段は「あんなじじい早く○ねよ!」などと言って健康食を食べながら悪態をついて、太った悪魔のように笑っていたじゃないのよ。
たいていそういうこれから先のわからない事をくどくど言う健康大好きさんは、栄養素の事もわかっていなかったりする。
コカコーラはダメでもスプライトはオーケーだったり。
外で食べるラーメンは塩分が多いからと言いながら、家で小さめのカップラーメンを食べていたりする。
青汁は嫌いだからって野菜ジュースを飲んでいたり。
朝はコーンフレークだからお腹がすくんだとかで、ランチにコンビニのサンドイッチを2パック食べる。
汗かくのが嫌いで、歌うのは運動になるからと言いカラオケボックスに走る。
甘いお菓子を控えてコメをどんぶりで喰らい、酒を呑んで笑っている。
笑えば健康になるっていう健康法でなんでも解決できると本当で思っているかのように。
こう書くと、自分が悪者に思えてくるわ。
無知で何も知らず、ひとつの嘘を信じきって疑うことを知らないで生きていた方が幸せな気がしてきた。
別に、幸せを追い求めてもいないけどさ。
なんだかふと、そういうひとを見ては悲しくなることがある。
自分の方が物事をよく知っているとか、考えられる人間だからと下に見つつ言っているのではなくて。
健康やケガのことなんて考えることが一切なかったらいかにおもしろいことが待っているかわからないし、お金をかけるとよりおもしろいものだってあることを知るだろうに、と感じるのだ。
例えて言うなら、鮮やかなオウムとか草木があるようなところに旅行へ行きながらも、モノクロ写真しか撮れないフィルムの入ったカメラでそれらを撮っているような。そんな感じだ。
健康さんも実は例えで、そんなひとなど全く存在はしない。
だけど、僕達は何かしらフィルターのかかった物事の見方で考えていることは多いと思うんだ。
化学がすべてだと思っていたり
宗教が正解だと思うことだってあるだろう
政治で世の中が良くなると思えることだってある
女性はSEXをする道具かのように考えているひともいる
今住んでいる国が世界の中心だと思う者もいるし
この世の中の幸せはディズニーランドにしかないと感じる者も
何が正しいかなんて誰にもわからないのだけど、間違っているかどうかもわからない。
もう何がなんだかわからない。
そうか。
だからみんな、自分の世界に浸っているんだな。
うん、それがいちばん平和で害のないことなのかもしれないな。
そうしよう。
健康に悪いラーメンでも食べて元気出そう。
落ち着いたら歩き出そう、これからの僕は。
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