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『はじめての明晰夢』 松田英子

夢を見る人はどのくらいいるだろうか。

毎晩とまではいかないが、月に2〜3回は確実に夢を見る。不思議な夢が多い私の夢は、人が目の前で死んでいくことも少なくない。もちろん私も刺されたりしているわけだが、咄嗟に「これは夢だ!」と言い聞かせて目を覚ましている。つい先日も滅多ざしにされる夢を見てしまった。泣きたい。夢の内容は鮮明で、時間が経ってもなかなか消えない。

そんな日は、朝から夢に出てきたキーワードを夢占いのサイトで検索する。大抵は不安や焦りがメインの臆病者な夢が多い。我ながら心配性で怖がりな面が強いので、サイトが示すその内容に納得して画面を閉じる。とあるサイトで夢を調べた後に、面白そうな夢についての本が紹介してあったので図書館で探す。残念ながらその本はなかったが、同じ作者のこの本がすぐに借りれそうだったので予約した。



「明晰夢」と呼ばれる「夢だと認知して夢を見続ける夢」を見るための本だった。私の場合は、「これは夢だ!」となって無理矢理目を覚ましているので「明晰夢」を見るにはそのまま眠り続ける必要があるようだ。「明晰夢」を見ることのできるレム睡眠は、明け方になるほど見やすいようで確かに朝方に夢を見ることが多かった。しかも2度寝をするとより見やすいと言うから驚き。悪夢で目が覚めて、もう1度寝るとまた同じ夢か別の夢を見ることはよくあるのだ。

この本を読んでショックだったのは、心地よい夢や楽しい夢を見ている人がいるという事実。美味しいものにありつけたり、空を悠々と泳いだり、憧れの人と話をしたりと羨ましすぎる。おまけに匂いや温度、聴覚や触覚にまで及ぶ夢を見ているのなるともはやそれは夢なのか。現実と夢がわからなくなりそうで少し怖いと、ビビりな私はSF映画のような想像をしてしまう。

そういえば、夢を見やすい人についても記載があった。神経質な人、内向的な人は奇妙で怖い夢を見やすい。外向的で知的好奇心の強い人は「明晰夢」を見やすい。とのことだったが、私は前者7割、後者3割といった具合だろうか。夢はその日の情報を脳が整理しているために見るもので、体験したものが大いに影響する。私もハリーポッターの映画を見ると、夢では杖で戦っていたりする。見たいものを見やすいのはあるのかもしれない。映画やテレビ、映像はかなり私の夢に作用するようだ。それでも幸せな夢は全く覚えていない。


ここで1つ、私の奇妙な夢を残しておこう。




始まりの場所は、近未来的な大きな建造物の下。近未来的といえどレンガ調で、どこかテーマパークを彷彿とさせる。近未来的だと思ったのはその建物の周りや、私の周囲に人形のロボットと人間が入り混じって歩いていたからだろう。建物の下にぽっかり空いたスペースでテントが立ち、何かの検査キットのようなものを並んでみんなもらっていた。知り合いと一緒にいたが、なぜか私は列を外れて建物から離れた路地裏に向かう。傍には見たことのない1匹の犬がいた。この犬もロボットだったかは覚えていない。背後からはたくさんのロボット警備が追いかけていた。犬と一緒に走り、現実ではありえないくらいのジャンプ力で建物同士を繋ぐ橋に着地する。先に進むと螺旋階段が見え、下に降りるがロボットたちの足音も近付いていた。階段の途中途中には雑貨屋のような店が所々あった。私は1つの占いの館に入る。細長い店内の一番奥には古い椅子と水晶玉、そしてダーツのようなものがあった。店内には誰もいないが薄暗い。奥まで走り、椅子の脇にかかったカーテンの向こう側にあった隠し扉からまた同じ螺旋階段に戻る。すぐ背後にロボットが迫っていたため、命の危険を感じて私は無理矢理目を覚ました。





次からは目を覚さない勇気を持って夢を見たい。眠るための最適な空間についても本著は触れていたが、個人的に新しい枕が欲しいところ。悪夢が少しでも怖くなくなるといいな。


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