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食器に使えるモダン金継ぎ
今回は、本漆金継ぎと別の材料を用いいた金継ぎのお話です。
金継ぎの種類
日本の伝統修復技法である金継ぎですが、使用する材料で大きく2種類に分かれます。
漆を使う金継ぎ
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文字通り、接着や欠けの補修などに漆を用いいます。
漆はとても耐久性のある樹脂なので、日本でも大昔(縄文時代とかそのあたり)から、生活に取り入れられている素材です。
ただ、漆を扱うため場合によってはひどく被れてしまうこともあるため、取り扱い要注意です。
それに、硬化するまで時間がかかるため、漆を用いる金継ぎでは仕上げまでにたくさんの手間暇がかかります。
漆を使わない金継ぎ
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これは、接着剤やパテ(主にエポキシ系)、漆以外の樹脂などを用いて器の修復を行うものです。
漆を扱わないため、かぶれる心配が少なく(接着剤でもっ人によってはかぶれることがあります)、乾燥時間も漆に比べると格段に短く、仕上がりまであまり時間がかかりません。
また、漆に比べ材料が身近で手に入れやすいため、手軽に取り掛かれるのも魅力です。
ハイブリット金継ぎ
上記2種。漆を使うもの、使わないもの。
この2種のいいとこ取りした金継ぎもあります。
接着の深部には強力な接着剤を使い、表面に近い部分や仕上げには天然素材である漆を使うハイブリット金継ぎです。
ガラスなどを継ぐ際、どうしても漆を使うとガラスからその漆の色が見えてしまうため、仕上げの状況を考えて、あえて接着剤で修復することもあります。適材適所です。
本漆金継ぎと何が違うの?
漆を使うか使わないかの違いです
モダン金継ぎと呼ぶ理由
漆を使わない金継ぎですが、世の中ではいろんな呼び名があります。その中である程度メジャーかなと思う呼び名が、簡易金継ぎです。
実際、私も福岡市の3R推進施設にて持たせていただいている講座名も「簡易金継ぎ講座」です。
でもですね、簡易って「簡単」っていう意味ですけど、簡易金継ぎは実は全然簡単じゃないんです笑
作業自体、本漆金継ぎのそれの方が断然ラクとさえ私は思います。
なので、私は簡易と別の呼び名で呼びたいなと思い、
現代風金継ぎ。という意味合いのモダン金継ぎの呼び名を使います。
モダン金継ぎのメリットデメリット
メリット
1日で仕上げることができる(最後の乾燥時間は除く)
かぶれるリスクが少ない
材料の調達が比較的楽(漆に比べて)
材料の汎用性がある(金継ぎ以外にも使える)
乾燥させることが簡単(漆は温湿度管理が必要)
デメリット
材料によっては修復後食器として使用できない
綺麗に仕上げるため、テクニックが必要
金継ぎつくろふのモダン金継ぎ
私たち金継ぎつくろふが開発した、食器に使えるモダン金継ぎは
上記のメリットはそのままに、デメリットを払拭した金継ぎです。
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材料や道具の選定にすごく時間がかかりましたが、納得いくものが出来上がりました。
また、作業性の方ですが、こちら、伝統的な本漆金継ぎのそれに寄せたものにしました。具体的に申しますと、材料のテクスチャーや硬さなどを漆で作ったものに寄せました。使う道具もほとんど同じです。
つくろふモダン金継ぎキット
この、つくろふのモダン金継ぎをご自宅で気軽におこなっていただけるように、キットも開発しました。
こっちらについてはまた別で詳しくお話させていただきます!
私たちの目標
壊れたら なおしてみる
なおしてでも使いたいものを厳選して購入する
本当にそれが必要かどうかよく考える
そして永く大切に使う
そんなマインドがこれからの地球
そして私たちの人生をより
豊かにしてくれると直感しています
ご自宅で手軽に楽しく取り組んでいただける
普段使いの金継ぎを皆様にご提案することが
私たち金継ぎつくろふの目標です。