ブルームチョコが好き
新商品ではありません。
あの一度溶けてまた固まったことで起きるチョコレートの油分が表面に浮き出してしまった白っぽいパサパサチョコレートのことです。
「味覚やばいよ」とか「貧乏だったの?」とか言われます。そうですね、まぁ…うん、そうなのかもしれません。
正直味覚には自信はありません。
どんなお肉を食べても全て美味しい。
「新鮮」か「腐りかけ」の違いは分かりますよ。
「炊き込みご飯はもっと味を主張してもいいと思う。お母さんのはただの "具入りご飯" だよ。」と娘に言われます。だっておかずが焼き魚だったらさ、もう、なんか、ずっと口ん中からくなっちゃうじゃん。とか言っておく。
「カレーにタケノコ入れるとか、マジやめて!」
カレーはなんでも抱きしめてくれるんだってば!
…まぁ、一般的にみたら味覚音痴なのでしょう。
子供の頃
ピアノの上のちょっと奥の方に六花亭のホワイトチョコレートを発見しました。
手書きの植物の絵が描かれた包装紙でくるまれた小さな箱でした。
なんだろう、おじいちゃんの習字の墨汁かなとか思って開けてみたら、板チョコだったんです。
ラッキーと、すぐに一つ食べてみました。んん?
なんだろこの食感は?チョコっぽいけどちょっとサクサクしてる感じ…。
もともとがホワイトチョコレートなので、見た目にはブルームしてるようにはちっともみえません。
美味しい!!
その夜帰宅した母にこの感動的に美味しいチョコレートのことを話した
「あ!…そうだった…そういえばお土産でもらったんだった…」ほほう、だいぶ前に?ですか
母は心配して箱を確かめると賞味期限を1ヶ月程過ぎていました。それから「温度変化が大きいところではチョコレートの品質が落ちることがありますので保管場所は28度以下でお願いします」などのようなことが書かれていた。…品質、落ちてたのかぁ…。それを美味しいと絶賛してる私って。
まあ、食べても異常は無いことはわかったし、腹も痛くならないし、よかったことにしよう。
その後、夏場を越したブルーミングミルクチョコレートに出会い一瞬たじろいだ。これが初見ならドン引きでしたでしょう。
まだらに白くなっていて所々にヒビ…?…カビ?
こんな地獄絵図の片鱗も見せなかったとは…
恐るべしブルーミングホワイトチョコレート!!
無敵か!
私はこれがすでに「ブルーム現象」とわかっているのでもう何も怖いものはありません。
むしろあの魅惑のサクサクチョコに再び出会えたことが嬉しかった。
おかえりブルーミング。
やっぱり美味しい
異常かもしれませんが、最近では自らの手でこのブルーミングチョコを作成しています。半年がかりの壮大なプロジェクトです。製菓会社の人が聞いたら腰を抜かすことでしょう。申し訳ない。
友人が働いているお店で、以前に食べて美味しかった海外のチョコレートを販売していたので欲張って2つ買いましたが1つをうっかり食べ損ねて夏を越してしまったのです。涼しくなって戸棚の奥から発見された時にあの六花亭の思い出がよみがえります。
は!こ、これはもしや…。できちゃったんじゃないのブルーミング。
おかえりブルーミング!
推察通り白んだ姿となっていました。オレンジミルク味のそれは今まで食べた中でも最高傑作でした。
それから毎年その友人のお店で夏前に3つ買い、2つを熟成用にしています。
「いつもいっぱい買うよねそれ、そうとう好きなんだね」よし、親友だ、真相を打ち明けよう。きっと彼女ならわかってくれるはず。
「バッカじゃないの。ショコラティエの気持ち考えたことある!?テンパリングってすごい難しいんだよ、まぁ、これは機械かもしれないけどさ」すぐやめろと叱られました。
当然です。つくり手さんの苦労を台無しにしているのは百も承知です。
でもこれはでもこれは、出されたカレーにソースをかけるのと同じ、親友がバウムクーヘンを一枚一枚はがして食べるの知ってんだぞ!それと同じだぁ!うまいものをさらに美味しくいただくためのステップアップアレンジ!!
きっと誰にも1つは心当たりがあるはず。
まあ…、いまだ私の周りではこの嗜好に共感してくれる人は現れないけれど、きっとどこかにいるはずです。
世間にチョコレート好きな人はあまたおりますが、私はね、チョコレートの限界値まで愛せるんですよ。
#とは #ブルーム #チョコレート #限界値まで愛せる