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KOBE川の音ベースと里山保全について思うこと

久々にnoteを投稿しようと思ったのは、古巣である神戸市のHPにKOBE川の音ベースの特集インタビューが掲載されたからで、なんかそれっぽく喋っているのですが、動画だけでは伝わりきらないところもあるし、今の川の音ベースの状況なども、伝わる人には届けたいと思ったから。

今回撮影された動画は、今年の7月から10月に複数回に分けて撮影されたもので、神戸市が重要施策に位置付けるSDGs貢献都市の推進の観点から、地元やボランティアの方々と里山を守り育てるキャンプ場というフォーカスの当て方で、行政の広報媒体として作成していただきました。

掲載されたのは、神戸市公式youtubeアカウント「kobecitychannel」で、チャンネル登録者数は20.1万人。紹介欄の最後には、
「ここは、自然と共生しながら、人々が集い、憩う場として機能しています。 神戸市は、このような素晴らしい場所を多くの市民が参加して維持していくことができる街こそ、本当の意味でのSDGs(持続可能な開発目標)に貢献する都市だと考えています。」とあります。

KOBE川の音ベースは、今から2年前にプレオープンした、神戸市北区山田町にあるキャンプ場。都心部から車で15分のアクセス性を有しながら、豊かな自然を手のどどく距離で楽しめることが魅力です。約20年間もの間、手付かずのままであった元キャンプ場の空間を、出来るだけ環境負荷のかからない方法でリニューアルし運営をしています。2022年11月のプレオープン、2023年7月のグランドオープン、その間に2度駐車場の拡張があったので、これまで4度の小さなモデルチェンジを繰り返しながら、今の状態になっています。現在は大きく3つのエリアに分かれていて、どのエリアも、フリーサイト(区画なし)で利用が可能。

川の音ベースは、敷地内に縦断的に流れる浅瀬の川(柏尾谷川)が五感に心地よく、水底は岩肌が露出し、視覚的にも美しく綺麗な川音を聴かせてくれます。一方、大雨による大きな被害に2度ほど会い、大変な目にもあいましたが、その都度ボランティアの方々が駆けつけてくださり、キャンプ場を介してコミュニティが形成され、キャンプ場を中心とした絆が生まれたり、川から得られるものもありました。

スタッフだけでは全くキャンプ場内の整備が追いつかないものですから、整備体験と称してキャンプ場内の伐木、整地作業のボランティアを呼びかけ、継続的に活動もしてきました。

そんなことを続けていくと関係人口が広がっていって、口コミで参加してくださるお客様もちらほら増えてきた2024年の春ごろ、里山SDGs(神戸農政公社)の補助金を活用し、今の活動をより良く新しいチャレンジに繋げつつ、本格的にキャンプ場の整備を進めたいね、という話になりました。
そこで、これまでお世話になった森林保全の専門家の方へ相談すると、キャンプ場は里山の仲間であること、正しく整備することで里山の環境が維持・復旧できることなど、里山森林保全の基礎的な知識と、キャンプ場の里山としてのポテンシャルを教わりました。
中でも印象に残っているのが、里山は人の手が加えられた人工林(二次林)であり、これまで数千年と人の暮らしを支えてきた畑のような場所。必要がなくなり手を加えなくなった今の時代において、手を加えずに原生林に戻るかというとそうではないし、里山に適応している生き物は生きていけなくなること、でした。

私はもともとアウトドアが好きで、山登りやキャンプが趣味、いつか自分でキャンプ場を開拓したい、と夢を持っていたので、川の音ベースと出会った時には直感でコミットしたいと思い、こうして活動するようになりました。

キャンプ場の運営・ユーザーの視点では、安全安心の確保を第一に、快適に過ごしてもらえることを目的に道・サイト環境整備を進めることや、ゴミは持ち帰ろう、川に油は流さないなどルールにより、自然環境を悪化させない取り組みは行ってきました。
一方、森林や里山の実態を知ること、維持保全について目を向けて考えることはほとんど機会がなく、正しく整備することで、里山の維持保全の取り組みにつながることを学んだことは、自分にとって大きな変化がありました。

そこから、専門家の方と打ち合わせの度に学ばせてもらうほか、兵庫県下の森林里山保全の活動や、過去の講演会のアーカイブを視聴したり、専門書を読んだり(全然ノウハウ本が売ってない)、森林・里山の基礎から勉強を開始。これまで自分が興味を持っていたローカル文化、コミュニティ、まちづくり分野との関連性があり、親和性も高いことにも気づき、里山・森林の課題や構造に関し奥深く学び取り組みたいと思うようになりました。

残って欲しいと思う景色や文化を次世代へ残せるように、何が出来るのか、残りの人生はそういった時間に使いたいと考えるようになりました。


めっちゃ勉強になった本の紹介
「森の経済学 森が森らしく、人が人らしくある経済」日本評論社
著者:三俣学・齋藤暖生





さて、今回のインタビュー動画の撮影は、オーナーの安田さんと共に受けたのですが、お互いの気持ちを確かめ合う良い機会にも繋がりました。言葉に出して表現することで、スタート時の想いや、今大切にしていることを確かめ合うことが出来ました。

お互いに思っていたことを話した上で、今回のインタビュー動画撮影に関する市とのコーディネート役を、KOBE川の音ベースでの最後の業務にすることを、安田さんと話し合い決めました。

安田さんは防災教育へこれまで以上に力を注ぐとともに、新たな協業パートナーと更に質の高いキャンプ場を目指して、私は里山森林保全活動の新たなフィールドへと、互いに前へ進んでいくための決定だと思っています。


今、KOBE川の音ベースは大きく変わろうとしています。
オーナーの安田さんが、当初より強く真剣な気持ちで取り組んでいる防災教育を実践するため、防災スクール「【遊び✖️防災】ASOBOU」の開校を目指してクラファンをスタートしています。これまで行っていた「食べる防災」に加えて、中高生への防災の学びの場を提供する取り組みなども開始しており、これまで以上にスピード感を持って防災教育の活動に取り組んでいます。

キャンプ場の運営に関してはまだまだ課題もありますが、焚き火Barも定着化しつつあり固定のお客さんもついているとかいないとか、継続して開催し、注目してもらっています。その他、これまでにご一緒させていただいた北区のプレイヤーとの共創イベントもあったりと、川の音ベースがきっかけとなる繋がりや企画も生まれてきています。

これまで約2年間、KOBE川の音ベースのスタッフとして、イベント企画、広報活動、クラファン造成、プロモーション、ロゴ、HP、駐車場整備、川の音ライブetc、キャンプ場を運営するという極めて稀な環境の中で、事業を回す経験はかなり勉強になりましたし、キャンプ場で出会った方々とのキャンプ談義は本当に楽しい時間でした。お世話になった皆様、ありがとうございました。


インタビュー動画ですが、市HPのTOPに掲載してもらえるとは想像を超えていたので驚きでしたw

里山保全について、次世代にバトンを渡す健康な里山が一つでも多くあり、そこでキャンプやピクニック等を楽しむ風景を作れるよう、まずは知識や経験等の足腰から鍛えたいと考えています。

なお、最後に企画させていただいた里山保全活動の体験機会「里山の学校」は、引き継いだスタッフが継続します。明日から月に1度のペースで開催予定です。

資料の一部(変更可能性あり)

里山の本来の姿を取り戻すために行動しないといけないことは一生かけてもやりきれないほどに多くありますが、入会制度やコモンズと自由財や経済財についてや、長い年月持ちつ村民の持たれつな関係で持続されていた森林を使う(守る)制度や文化って、よくいう、めっちゃパブリックな取り組みに見えてきて、まだまだ慣れない分野ですが、関心高いキーワードばかりでワクワクしていますー。まずは木を切ることから始めたいと思って、昨日、チェーンソー(伐木)の特別教育を修了してきました。

山に入る機会を少しづつ調達したいと思います。
良い機会があれば、皆様、お声がけください。

それではまた!

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