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今週のkinologue【2/10-16】

急に暖かくなって、庭の梅もだいぶ満開に近づいた今週は、オンライン参加のベルリン映画祭というかEFMのスケジュールチェックと試写の日々。オンラインだと大して観られないことは分かっていても、ベルリンはヨーロッパのアート系作品が充実しているし、北欧の映画祭とは違うものに出会えることを期待する。円安で益々安くない登録料を払ったからには計画的に観ないとね。先ずは映画祭のオープニング作品だった地元トム・ティクヴァの久しぶりのドイツ語作品“The Light”鑑賞。昔いた会社でやった『ラン・ローラ・ラン』以外はいつも長尺で、これも例外じゃなく2時間半超。SFっぽいジャンプやテクノ使いは変わってないなぁと嬉しく思う半面、急なミュージカル仕立てとかクイーンの名曲多用なアニメーションとか盛り込みすぎかと。国内はまだしも海外では興行的に期待できないというレビューも仕方なし。そして、ミシェル・ゴンドリー家のファミリーフィルム“Maya, Give Me a Title”はかわいかった。手づくり感あるストップモーションアニメで、紙とペンとハサミがあればみんなで何でも作れるよねー!あとはアイディアだよね、Maya!にどんどん応えていくMayaと父母。10年近く前の現美の展示もワークショップ重視だったし、その志向は今も続いているのか。その時にたまたま来日していて運良くサイン会に参加したが、かわいいフランス人のおじさんだった。「あなたのEternal Sunshineのパブリシストだったんだよ」と言った時に、顔を上げてニコっとしてくれたのは良き想い出。しかしこの映画、英語字幕も作り込まれていて、日本語つけるのが難しそうだから、日本ではやらないかなぁ。

左上のベルギーのフレンチフライメーカーのおじさんがコロナ禍でハンモックメーカーに。
なんのこっちゃだろうけど、最高!

今週発売となった「婦人之友」CINEMA連載では、絶賛公開中の『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』をご紹介。アルモドバル初の英語作品で、あんなに過激だった人も老成したのだなぁという内容。変わらない鮮やかな色彩美溢れる映像に、この人が出ていると観たくなる!なティルダ・スウィントン&ジュリアン・ムーアの競演とくれば安心感しかない。ティルダ・スウィントンが着ていたセーター、全部欲しくなった。着こなせないけど。

久しぶりに文句なく素晴らしいと思ったメイン写真

そのティルダ・スウィントンがベルリン映画祭に功労賞受賞で登場。支配的な国家を批判したスピーチがカッコいいと思っていたら、暫く映画から遠ざかる宣言。コロナ禍で映画界が変わってしまった、自分には他にやることがある、とのこと。ちょうど売り込みがあった初監督作品も鑑賞。Learningをテーマとした哲学的なドキュメンタリーといったところ。これからやりたいことにもつながるのか。今年65歳、まだまだこれからの彼女が楽しみだ。

映画祭の合間に観たのは『どうすればよかったか?』。ヒット中ゆえか、平日午前中でも満席。思った通りというか、どストレートなドキュメンタリーだった。20年以上撮り続けてきた私的な家族の記録を観ることで、何回も家族が逃してきたチャンスを追体験する。「どうすればよかったか?」と、ずっと家族として自分に問い続け、姉の死後に父に向けた問いが全てだ。それが、そのまま観る者にも響いている。後付けじゃないタイトルの勝利か。

監督が撮り始める前から、家族が写真や映像をたくさん撮っていたのが肝

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