湖岸有料化の失敗と公共
琵琶湖・湖岸緑地の有料化が失敗だったとの京都新聞の記事(2月)。
私は去年ヤフコメに反対意見を書いて凍結されたんだ、ざまぁ見ろw
琵琶湖の湖岸緑地は、交通機関のない場所にあるので、駐車場有料化は実質的な公園有料化なんだが。
琵琶湖は元々、湖西の観光開発が早かった。
大津から高島まで、湖岸はマリーナ・キャンプ場・保養所など、民間業者の敷地になっていて、一般人は水辺に出ることができない。浜大津、におの浜、唐橋など、埋め立てられた場所にだけ公園がある。
かつては「舞鶴より近い海」として観光バスが走り、大型ドライブインなどが繁盛していた。企業の保養所なども多く立地。それがすっかり寂れてしまい、ボートなど水上スポーツの業者と、あとは廃墟かマンションか。
一方、湖東は、内湖(琵琶湖の外側にくっついてる湖)の干拓や、琵琶湖総合開発計画で、新規に出来た土地が多く、今の湖岸道路は昔の湖の中を走っている干拓地の堤防だ。昔の岸辺の集落・浜街道と、湖岸道路は、水田を挟んで大きく離れている。湖岸道路沿いには県営の緑地が点在し、車で利用できる。
この湖岸緑地が、BBQのゴミなどで環境悪化しており、駐車場を有料化する。というのが昨夏の滋賀県の実験である。
私がヤフコメに書いた反対意見、論拠は次の3点。
ヤカラの湖
琵琶湖でゴミ捨てたり汚して帰るのは、京都の自営業者いわゆるヤカラ系の皆さんであり、有料化=富裕層限定にすれば、ゴミ捨ては悪化する。
一般人の目
無料駐車場で気軽に公園を使う一般庶民、それらの「目」がなくなれば、ゴミ捨てはさらに悪化する。
県の自由度
有料化=富裕層限定で寂れていったのが湖西の観光である。目先の銭に縛られている湖西の民有地とちがって、湖東は県有地で無料放置されていたから琵琶湖に観光客をひきつけている。県は長期的視野で観光振興を図らねばならない。
京都新聞記事によれば、料金徴収の人件費で赤字になり、周辺へのゴミ捨てが悪化とあった。(計画発表時は利益目的ではない旨を強調していたが、結果検証時は赤字にフォーカスされているのは面白い)
また、記事には無かったが昨夏、水上バイク暴走や水難の記事が多かったの、皆さん御記憶だろうか?
今回の滋賀県庁の失敗について、思う細事を並べたうえで、発想の転換を求めたい。
まず余談になるが。
滋賀県は水上スポーツ大会の会場になることが多いが、地元勢は弱い。
かつて京都自民が「京都の子が京大に行けない」と革新府政を批判していたのと、似たような状況がある。
滋賀が強化に招いた選手は、他選手の道具を隠すなどの妨害を行い、他県移籍後に「ライバルにドーピング薬物を盛って資格停止にする」という不祥事をやらかした。
私もちょっと覗いてはみたんだが。
伝統校しか乗せない、知り合いしか乗せない、気に入られなきゃ乗せない。
制限することが指導。水辺のメリットを自分で摘んでるわなぁ。
昭和の終わりごろ、高度成長の反動で環境への関心が高まった時代。
「水辺へのアクセス権」という概念が唱えられた頃があって。
今の親水公園とか、今の滋賀県政とか、そういう流れを汲んでるはずだが………。
一方で、滋賀の県民性や、よく称えられる商道徳というのは、実は「旅人からボッタクる」静岡と似たような物に変化しているのではないか?と住んでみて思う。
「近江商人」という概念は形骸化して、偉い人が絶対。京都大阪の小金持ちにタカる。そういう風土がある。
京都人の排他性、他人をジャッジしたがる品の無さというのは、皆が「京都」に憧れることで生まれる。そこに土地を持ってるだけで偉くなった気がして、不労所得も得られる。今の東京都民もしかり。
京都と同じように、滋賀県には琵琶湖という財産がある。海の無い京都人は本能的に水辺を求める。滋賀の土着民はそこに不労所得を求める。やがて資本に渡る。荒廃する。
「水辺の利用を制限する、制限することで収益化し、管理コストに充てる」
この発想自体が間違いだった、と私は考える。
水辺を制限することで、ヤカラが酒飲んで水上バイクで走り回り、水上スポーツで地元勢は弱く、湖西線沿いは廃墟だらけ、そんな琵琶湖になっている。
有料化の失敗理由に挙げた「一般人の目がなくなる」これが大きい。
公に開かれた、庶民的な、多数による利用。
これがあれば、環境悪化を防げる。
大勢の庶民に開放することが、環境を良くする。
日本の戦後も同じで、身分制を廃し、財閥を解体し、所得格差を無くして、日本経済は急成長して世界一に。
身分制を復活させ、教育機会を制限し、経済的規制を緩和し、所得格差を大きくしたら、30年の長期不況に陥った。
SNSも同じだ。「有力発信者と信者集団」という形を運営側が求めていたことで、twitterは荒廃し、threadsも代替に失敗した。そのあおりでblueskyに難民が押し寄せたが、一般人抑制策を取ったことで、初期の伸びは止まった。
「民主的」と言うと、何か悪いことのように、ネットでは思われるのだが。
それは安倍時代の大量宣伝の賜物だ。
「民主化」こそ低コストの経済発展策だと考える。
「お金持ち限定の琵琶湖」
これが、アルファードやアメ車しか呼ばなかった、かえって管理コストを増大させた。非常にコンパクトに、今の日本の政治や行政や経済の欠点を明るみにした事例だと思う。
目先の収益化を求めることで、かえって損をした。
滋賀県庁は「近江商人」の看板に、何かを塗ってしまったようだ。