30 day book challenge 第14日
今回は「新解釈版のおとぎ話」。
こういうのたくさんありますよね。いくつか読んだような気がするのだけれど、印象に残っているのはこれ。
中島京子の「パスティス -大人のアリスと三月兎のお茶会」。ちくま文庫で読みました。
パスティス(pastis)とはお酒の名前です。アブサンの代替品として作られたとwikiには書いてありました。アブサンってすごく強いリキュールで、幻覚作用があるとかで一時は禁止になったお酒。映画「太陽と月に背いて」(原題 "Total Eclipse")で詩人のヴェルレーヌが飲んだくれていたやつです。この映画でアルチュール・ランボーを演じていたのが若き日のディカプリオでね、そりゃあめっちゃめちゃ綺麗でしたとも! ああまた余分な話を・・・
戻ります。この「パスティス」は、元のおとぎ話や有名な作家の作品をモチーフに作られたパスティーシュ小説。「パロディ」とも似てるかな。パロディと言っちゃうと少々お笑いに傾きがちな印象だけど、コメディとは限りません。原形を留めながら、まったく新しい側面や新解釈を見せてくれるのがパスティーシュ小説と言えるでしょう。こういうの、大好きなんです。
原作を知らなくても楽しめますが、知っているとなお楽しいと思います。それに巻末に「原作一覧」がきちんとついているので答え合わせも可能。「Mとマットと幼なじみのトゥー」って、これかよ!と驚いてください。
楽しいだけじゃなくピリッと苦い毒も入ってます。桃太郎が闘う先はなんなのか、親指ひめはハッピーエンドにはなったけれど、こんなん現実やったらこんなうまくは……と、あれこれ胸に重いものが残る部分も。
でね、解説が清水義範なの! なんてはまり役で贅沢な人選でしょう。
清水義範も作家で、ちょっと古いですがこの人の「国語入試問題必勝法」とか、「蕎麦ときしめん」はパスティーシュの傑作だから! こちらも大プッシュお勧めです。