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【Vol.23】失敗から学んだ組織変革のポイント(中)

さて。前回の続きです。

マネジメントの職に就かせていただいてから、約5年。
まぁ短い期間ですが、のべ40人近くのメンバーを担当し、年間数十億の売上責任を負い、いろいろと打ち手を打ってきました。

大事にしていたのは、人材輩出組織を創ること。
属人的な仕事が生み出す成果に対してどう再現性を構築するのか。

自分の組織だけではなく、会社全体に大きな変革を起こそうと思うと、
自組織の変革を伝播させることが必要になる。

だから、再現性が重要になる。

ただし、属人的な部分はどうしても残る。むしろ、残さないといけない訳です。そうしないと、個性がなくなってしまうから。

なので、やるべきは、”アタリマエレベルをどこに設定するか”です。

そして、1人1人の強みにフォーカスし、強みを最大限発揮できる環境を整え、役割を与えること。

そのためにマネジャーがやるべきは、向き合い続け、求め続けること。
”ここまではやってアタリマエ。やらないと気持ちが悪いレベルだ”
ということを、滾々と説き続ける。そして、自分自身の強みが何で、どういう役割を担って欲しいかを明確に期待すること。

そして、高いアタリマエレベルでMissionを遂行し、役割を全うできる人材を他組織に送り込むことで、自組織以外も含めた組織全体のアタリマエレベルを引き上げていく。そうすれば、提供価値のレベルは上がっていく。

これ、いまだからこうやって言えますが、最初は全然ダメでした。
とにかくただ自分が求めるレベルにあることを求め続けた(だけでした)

これ(求める”だけ”なこと)が大間違い。

もちろん、コミュニケーションの中身は気をつけていた”つもり”だったし、どうやって動機づけをするかは念頭に置いていたけど、全然なってなかったです。

ただただ行動と基準だけを伝え続けてもダメな訳です。目的とかゴールとかは伝えていたけど、メンバーにとって魅力的に伝わっていなかった。メンバー自身が、目指したいと思っていなかった。

結局、コミュニケーションができていなかった。ってことです。

もう1つの問題は、変化に対して好意的な反応を取る人は少ない。ってこと。人間は自己保存の法則に従うので、結局、自分のいまの状態を維持したくなるのが本能。だからこそ、難しい。

じゃあ、いままで求められていたレベルをいきなり引き上げ、ここを目指そう!と言い始めると何が起こるか?「いままでは、これで良かったのに。」「このマネジャーはめんどくさい。」みたいな空気が流れる訳です。

当たり前ですよね。だって、超絶マイノリティなんだもん。

逆の立場で考えてみて、周りの友達がみんなで遊んでるときに、自分だけ勉強しなさい!って親に言われてきてたとしたら、本当に勉強してこられてきてたと思いますか?
(出典:2019年M-1のかまいたち)

「あーあ、なんで俺だけ・・・。」ってなりますよね。

しかも、よそからやってきて急に張り切って方針ぶちまけて。
いま考えると顔から火が出るぐらい恥ずかしい訳です。

ただ、やろうとしていたのは、この会社の組織力を上げ、高い成果を上げ続けられる状態にすること。

だからこそ、人材輩出組織を創らなければと思った訳です。
自分の組織で、成果を出したメンバーが、成果を出す方法を理解した上で、他の組織に行く。そして、そこでその方法で成果が出れば・・・。

その繰り返しで、どんどんどんどん組織が変わっていく。そう思った。元々、入社タイミングで、「営業の建て直しをしなければならない。」という大きな流れの中の1ピースとして入った訳で、それが僕のMissionだった。

どうやって事業拡大をしていくのか?
お客様から、「もっと発注したい!」と思っていただくようにするのか?

それには、来るものをひたすら捌くってことから、お客様を知り、お客様に価値提供を仕掛け、ないものは新たに創っていく。この循環が必要だと考えた訳です。

ただ、さっき言った通り、
周りが遊んでいる中で宿題をやらされている子供はふてくされる。というか、なにより面白くない。

でもって、自分自身も相当辛い。なんと言われようが、基準を下げることはしなかった。方針が合わないと言われても、曲げることはしなかった。

だから、「成果」を出す必要があった。

成功体験を積ませてあげる、最初は自分自身が背中で見せる。そうやって、自分の手の届く範囲で変化を起こすこと、小さくても良いから。そして、成果についての棚卸しから再現性を見出す。と同時に、組織内外に同調してくれる仲間を創る必要があった。

幸い、僕にはそういう仲間が近くにいた。
さらに幸いなことに、上司が方向性を理解し、認めてくれていた。
辛いと思ったときに、仲間が支えてくれた。

安心して危機感や違和感をぶつけられる。さらに、あるべき姿について一緒に考えられる。その仲間達と、理想の状態や方向について組織に対してコンセンサスを取っていく。

そして、協働しながら、理想の状態に向けた事例を共有して広げて行く、ことあるごとにポイントは言い続ける。

ポイントは、同じ言葉で、同じフォーマットで伝えるということ。

そして、再度一定の成果が溜まったタイミングで方向性を示すと、
共感してくれる人が増えていく。そして、勝手に広まる臨界点が来る。

そうすることで、いつの間にか味方が増えていく訳です。

ただし、難しいことは言わない。とにかく、行動・約束をシンプルにすること、そして、約束を守る・行動を実行することに対しての称賛を惜しまない。約束・ルールを破ることに対しては厳しく指摘する。チャレンジして失敗したことに対しては成功に向けて何が足りなかったかを一緒に考える。

この繰り返し。

僕の場合は、知る→攻める→創るのこの循環なのだと言い続けた。そして、お客様の事業に伴走しなさいと。調査ありきでの発注ではなく、常にそばにいる存在になりなさいと。

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そのためには、こちらから情報提供をしなければ。とか、会った方が良いよね?とか、会っておかないとまずいよね。とかそういうPerceptionを構築しにいかないといけない。

そうすれば、自分から接点を構築しなくても、勝手に接点は増えていく。
そうやって、自分の周りにお客様がいる状態をいかに創るか?

馬鹿の一つ覚えみたいに、
「知る→攻める→創る」「Everything is Marketing」と言い続けた。

初めてマネジャーの職に就いた部署で、自分が求めていた方向にメンバーが成長し、お客様からの評価が変わり、隣のグループを含めて組織全体の価値提供方法が変わりはじめたなと実感したのは、4年が経過した時だった。

そこからの異動で、自分の中での組織づくりの成功体験が体系化されることになる。

それはまた次の話で。


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