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自己肯定感を高めたい方へ〜人生を楽しくする3つのコツ〜

割引あり

はじめに

 心安らかに生きる、楽しく生きるのは大変に難しいことです。
 なぜなら楽しく生きられない、生きるのが辛いと感じる原因は、大抵ひとつではなく、さまざまな苦しみが重なっている為です。

 例えば、お金の不安、仕事にやりがいを持てない、精神の病を患っている、恋愛や性的なものに対する劣等感、自身の能力への不満、介護不安、仕事や勉強に対するプレッシャーなど、挙げ出すとキリがありません。

 ちなみに2023年の自殺者数は2万1881人で、2年ぶりの増加となり、とりわけ女性の自殺者数は3年連続で増加しております。

 社会や仕事が、人を殺しているのでしょうか?
 不況による貧困が、人を殺しているのでしょうか?
 おそらく、現代日本の抱える病巣は、金銭的な事情や社会情勢だけによらない、もっと根深い、個人個人の人生そのものにあるのではないでしょうか。

 楽しく生きる、という事を本稿は『自己肯定感を高め、日々の充実とストレス軽減の相乗効果で精神的に豊かな日々を送る』と定義してみます。

 その為このnoteは、金銭的な事情などはさておき、楽しく生きるための方法論として、自分と世界を肯定的に見つめ直すことに主眼を置きました。
 皆さまが少しでも、豊かな日々を送れますように。


1.見方を変える

 私たちが悩んだり、自分を肯定できない、辛いと感じるのは、当たり前ですが全て主観的なものです。

 他人に「このブサイク」と罵られたところで、主観的に自分を美しいと思っているならばおかしいのは相手の方ですから、相手を憐れみこそすれ、傷つくことはありません。

 私たちは完全な主観の世界に生きているのですから、他人と世界、そして自分自身の見方さえ変える事ができるのならば、精神的に豊かな日々を送る事ができます。
 しかしこれらの主観は密接に絡み合い、影響し合う為、それぞれをどう捉えていくかが肝となるわけです。

 例えば、人間は自分を評価するにあたって、どうしても他人という鏡を必要としますから、自分の中だけで自己を肯定しようとしてもいずれ限界が訪れてしまいます。
 そのため、『1-1.他人の見方を変える』では、他人の見方を変えることで上手に付き合い、肯定的なフィードバックをもらうことで自己肯定感を高める一助となるような内容としました。

 また、自己肯定感を高める要素の一つとして、日々をどれだけ楽しく過ごせているか、充実した生活を送れているかも重要です。
 楽しい感情は精神的な好循環と活力をもたらします。

 例えば、会社と家を往復するだけの日常だったとしても、普段何気なく目にする景色を楽しめる人とそうでない人がいます。

 見方を変える事で興味が生まれ、趣味や教養の幅が広がり、様々な"好き"が蓄積されていく度に、人は自己を好意的に捉えられるようになっていきます。
 『1-2.世界の見方を変える』は、それらのちょっとしたコツをご紹介します。

 そして最後の『1-3.自分の見方を変える』は、上記とは違い自身の内面へアプローチします。
 自分を正面から見つめて正しく把握することは楽に生きることではなく、楽しく生きることに必要となります。
 人間は自分の事を完全に理解していると思いがちですが、それは大きな間違いです。
 昔から「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」だとか「あばたもえくぼ」だとか言うように、人間は認知においてかなりいい加減な生き物なのです。
 これらは心理学の世界でハロー効果(※)と呼ばれる認知バイアスの一種として有名です。

※ハロー効果:後光を意味する"halo"より、目立った特徴に引きずられて、認知が歪められる事。例)眼鏡をかけていると、頭が良さそうに見える等

 他人を見る時でさえ見間違うのですから、自分の事などはっきり見えるわけがありません。

 そこには必ず、出来るならこうありたいとか、所詮こんなもんだとか、そうならいいなとか、様々なフィルターがかかっているはずです。

 それらのフィルターを一旦取り除くことで、自己を肯定するための土台が生まれることでしょう。
 その時、"楽"ではなく"楽しく"生きるという次の扉が見えてくるはずです。

1-1 他人の見方を変える

 博報堂生活総合研究所が度々行なっている生活定点調査(2022年)によると、ストレスの原因は以下のようになっております。

1位 職場(学校)での人間関係(36.7%)
2位 自分の将来のこと(30.9%)
3位 家庭での人間関係(30.9%)

引用元:生活定点1992-2022 ストレスを感じる理由は何ですか? [ストレスを感じる人のみ]

 4位以下のランキングも考慮して、乱暴にまとめてしまえば「人間の悩みなんて人間関係と将来の不安がほぼ全て」と言えます。

 世の中には絶望的に価値観の合わない相手がいるものです。

 嫌な上司だろうが姑だろうが、そのコミュニティに属する以上、関係性を断てない相手が何人かいるのが普通です。

 ならば、上手に付き合うより他はありません。他人の見方を変え、相手を知る事で信頼関係とまではいかずとも良好な関係を築く必要があります。

 その為に重要なポイントを3つに絞ってご紹介します。

1.ストレスの原因は「何で」にある
2.怒りがどこからくるのかを知る
3.好意の返報性を上手に使う

1.ストレスの原因は「何で」にある

 人間は、わからないものにストレスや恐怖を感じます。

 翌日に大事なプレゼンを控えて眠れないのは、プレゼンが上手くいくかどうかわからないからです。
 もしプレゼンが上手くいく未来を知ることができれば、彼はぐっすり安眠することができます。

 仲の良い友人と過ごすことにはストレスを感じないでしょうが、よく知らない人と食事に行くことは、多くの人にとってストレスです。

 幽霊などの怪力乱神かいりょくらんしんの類はいかがでしょうか。
存在するのかもわからないし、害をなすかもわからない、足があるのかもわからない、わからない尽くしだから怖いのです。
 もし将来的に

霊魂はごく稀に、生前の形状を輪郭のみ象った、物質の第6の状態として観測される場合がある。観測可能な年月は最大30年であり、物理的・精神的問わず生物へ干渉することはできない。消滅する際には、足の方から数年がかりで消える現象も確認されている

などと科学的に証明されたら、我々が幽霊を恐れる事もなくなるはずです。

 "知ってしまえばそれまでよ"ではないですが、人間は知っているもの(わかっているもの)に心を動かされることはありません

 これは、何か不愉快な事を言われた時も同様です。
 例えば、上司に「はぁ、もっとしっかり仕事してくれよ」と言われた時、それが辛いと感じる人間の思考は下記のようになります。

何で私にだけ言うのだろう、私より仕事をしていない同僚もいるのに」
何で自分は一生懸命やっているのにさらに追い打ちをかけるようなことを言うのだろう」
何であんな強い言い方を、みんなの前でしたのだろう。恥ずかしいし、悪いこともしていないのに怒られたみたいだ」

これらのストレスの原因は、全て「何で」つまりわからないことにあります。
 この「何で」さえなければ、ストレスの量は激減します

 上司は、仕事をしない他の部下をとっくに見切っており、一番有能でやる気があるあなたにハッパをかけようとしていたかもしれません。
 同時にそれを周りの部下にも間接的に伝えようとしていたのかもしれません。
 もしくは、役員会議で所属部署の成績低迷を槍玉に挙げられ、役員からこっぴどく絞られてイライラしていた可能性もあるでしょう。

 こういった「何で」を想像出来るのと出来ないのとでは、受けるストレスに天と地ほどの差があります。
 最後の「イライラしていた」というネガティブな理由だったとしても、何もわからず叱責されるのとは大違いです。

 かくいう私も、最近怒りを感じる出来事がありました。
 地下鉄から地上に出て、歩道をすぐに左に曲がったのですが、すぐ正面に白髪で髭のヒョロリとしたおじさんが向かってきています。
 私は左に避けようと目一杯寄っていたのですが、なぜかそのおじさんも私の正面にぴったり対面してきます。
 するとおじさんは私の肩を掴んで「右に避けろ!」と言いながら、押し抜けていきました。

 感情としては、まずポカン、です。
 次に(なぜ知らないおじさんに押し退けられた挙句、命令口調で咎められなければならないのか)と怒りを感じて振り返りましたが、もうおじさんはいません。きっと既に地下鉄駅に降りてしまったのでしょう。
 そして(あぁ、なぜあの不届者に文句の一つも言ってやらなかったのか)と怒りを倍増させました。ここが怒りのピークです。

 ここからの思考は下記のようになりました。
(いや待て、まともに働いているとは思えない風貌だったし、何か障害を持っているのかもしれない)
(障害がないにしても、情動面がおかしいことは明白なのだから、下手に刺激してトラブルを招いても、損をするのは私だ)
(実は、私が知らないだけで都心では右に避けるのがマナーだとされているのかもしれない)

 そして帰宅後調べてみたところ、驚いたことに歩道であっても右に避けるのがマナーだと思っている人は一定数いるようなのです。

 歩行者が右、と道路交通法で規定されているのは、あくまで車道と歩道の区別のない道路についてなのですが、勘違いしてしまったのかもしれません。

 論理的に考えればすぐにわかることなのですが、自動車が左側通行である為に歩行者と自動車がお互いを認識できるよう、対面交通のルールがあります。
 なので歩道がある場合、より車道に近い側を歩く歩行者が自動車を認識できた方が安全ですから、左側を歩く、つまり左に避けることが正しいのです。

 ちなみに、現代のルールとは全く関係ありませんが、侍の時代は、左の腰に刀を差していたので、刀がぶつからないよう左に避ける習慣があったそうです。

 ここまでくると、もはや怒りは一片たりともありません。なぜなら、「何で」というストレスの原因が消滅してしまったからです。

 そして「何で」を追求した結果、ついでに「侍は左に避けていた」という知識も得ました。これからはちょっとだけ侍気分で、ちょっとだけ粋な気持ちで左に避けることができます。 


 何か不愉快な出来事があったら、相手が何でそんなことを言ったのか、何でそんなことを言ったのか、たくさん理由を考える習慣を始めてみましょう。
 相手との関係によっては、直接「何で?」と聞いてみることも一つの手です。

2.怒りがどこからくるのかを知る

 私の父親はかなり短気な人で、一緒に暮らしていた間は、家族全員が常に父親のご機嫌伺いをしているような、異様な雰囲気の家庭で育ちました。
 何せ、テレビアニメのキャラクターの名前を言い間違えた父親に対して、一言訂正を入れただけでも「バカにしているのか」と烈火の如く怒り出す始末でしたから、こちらは何も言えなくなってしまうのです。

 これは、かなり極端な怒りんぼの例ですが、怒りという人間の感情の根はみんな同じで、裏側には悲しみや不安等のストレスが潜んでいます

 自分はバカにされたかもしれない、という不安を何とかして解消しなければならない。
 相手を威圧して、自身の尊厳を取り戻さなければならないと、感情が突っ走ってしまうのです。

 これらの怒りも、上記の「何で」がわからないから発生する感情とも言えます

 勿論、不条理極まりない仕打ちを受けて怒りを露わにするとか、叱責を与えることで子供の反省を促さねばならないとかという場合には怒りを上手に使うべきですが、日常生活においてはほとんどの場合、怒りなど表に出さない方が良いことは明白です。

 怒る人の人生は灰色です
 人は、他人の意見を取り入れながら自身の価値観や自尊心のバランスをとって生きていくものですが、怒る人には、誰も、何も言ってくれなくなります。

 年を追うごとにその価値観や自尊心は歪んだ形をとり、固定されていくので、周りの人がどんどん離れていってしまうという悪循環に陥ります。

 なので、つまらない事で真っ赤になっている相手など爪の先程も気にする必要はないのです。
「ああ、この人は悲しい人生を歩んでいくのだな」
とせいぜい哀れんで、心の中で十字でも切ってあげれば良いのです。

 またもし、短気な自覚がある方がいらっしゃいましたら、怒りを表に出す前に、何とか一呼吸おいて、何で自分は怒っているのか、理由を探ってみることをおすすめします。

 怒りのピークは6秒間と言われていますから、まずは6秒数えてみる。
 またはトイレに立つなどして、一旦怒りの場から退避することもおすすめです。

 ついでに、ディケンズの『クリスマス・キャロル』もおすすめしておきます。

3.好意の返報性を上手に使う

 返報性の原理という言葉をご存知でしょうか。

 これは、ロバート・チャルディーニというアメリカの心理学者が『影響力の武器』という著作の中で取り上げたことから一躍有名になり、ビジネススクールなどでも紹介される人間心理の一つです。

 平たく言えば、「人間は何かをもらうと返したくなる」という心理のことです。

 身近なところで例を挙げるなら、デパ地下などで試食をさせて貰うと何か買わなきゃいけないような気持ちになったり、お土産や誕生日プレゼントを貰うと返さなければならないような気持ちになることなどが代表的なものでしょう。

 これは、モノをもらう時だけではなく、行為に対しても起こる心理です。
 恋愛においても、「別に気になっていた人ではないけど、告白されたからOKしちゃった」という話はよく耳にするでしょう。

 人は、恩返しをせずにはいられない生き物です。
 そして、この心理現象を人間関係に当てはめて一番上手に使う方法は、ズバリ苦手な相手に使うことです。

 返報性は面白いことに、ネガティブな方向にも力を発揮します。

 特に何をされたわけでもないのに苦手な人、というのは誰しもいるものですが、その相手もまた、あなたを苦手としていることがほとんどです。

 そして、人間関係がうまくいかない人に限って、ちょっとしたことで他人を嫌ったり、苦手に思うことが多いものです。
 また同時に、苦手な相手のことをほとんど知りません。
 趣味も、好きな食べ物も、家族構成も、学生時代の部活も、わからないと思います。

 人は、自分のことを好きな人、自分のことを知ろうとしてくれる人を好ましく思う生き物ですから、当然、自分のことを苦手に感じており、興味も持ってくれない人を好きになるわけがありません。

 学校でも会社でも、苦手な人や挨拶くらいしかしない人は沢山いると思います。
 そんな相手に、挨拶をするついでに「そういえば、〇〇さんはどちらから通勤されているのですか?」とか、「このあいだの連休、どこか行かれましたか?」とか話しかけるだけで、間違いなく関係は良くなります。

 多少不自然だろうと、自分に対して好意的に話しかけてくれる相手を袖にする人間はまずいません

 返報性の原理は、社会で生きていく上でとても強力な武器です。

 この原理を頭に入れておくだけでも、少しだけ生きやすくなるのではないでしょうか。

1-2 世界の見方を変える

 続いては世界の見方、すなわち「人以外のモノ」についての見方を変えてみましょう。

 我々は、同じ街を歩いていても、目に入るものや思うことが人それぞれ全く違う生き物です。

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