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個展「楽園より」について

来週月曜日、11月25日まで福岡のArtas Galleryさんにて個展を開催しています。

今回の個展タイトル「楽園より」には、自分にとっての「楽園」、すなわち「心地よい空間」という思いを込めています。そして、その空間に訪れてくださる皆様をお招きするような気持ちを表現できればと思い、このタイトルを選びました。

また、今回の個展にて、新しい試みをしてみました。
それについてお話できればと思います。



短歌が好きです。

日常の一瞬を切り取り、それらを31文字で表現した短歌を読んでいると、これまでの日々、これからの日々が一層愛おしく思える感動を覚えます。自分では気付けなかった日常の尊さに触れられたり、時には救われたような気持ちになることもあります。

この思いについてArtas Galleryの村上さんにお話したところ、「短歌を制作してみてはどうか」とご提案いただきました。
そこに新しい表現の可能性を感じ、今回は4つの短歌を制作した後、それぞれの短歌から膨らんだイメージを絵画にしました。

従来の制作テーマは変えず、短歌という形式を用いて絵画に落とし込むことで、これまでの一枚絵とは異なる方法で、物語性や時間の流れを表現できるのではないかと考えています。

言葉を紡ぐ短歌と、情景を描く絵画が交わることで生まれた、新たな作品のかたちを楽しんでいただけたら幸いです。


夢にまで出てきた景色と旅をする 十年後またここで踊ろう

30代に差し掛かる頃から、大学時代に出会った友人たちと「出会ってからもう10年も経つんだね」と話すことが増えました。10年という月日は数字だけで見るととても長く感じますが、実際はあっという間だった、という驚きの方が大きかったです。同時に、これほど長い時間が経った今でも繋がり続けていることへの喜びを強く感じました。これから先の10年後もまた同じように思うのだろうか、そうだったらいいな、と思いながらこの作品を制作しました。

手を繋ぐ これが祈りと信じてる 世界が逆さになったとしても

願い事をしたり祈ったりするときに手を合わせる形が、手を繋ぐときの形と同じだなと、以前から感じていました。日常生活の中で人々が手を繋ぐとき、相手のことを想ったり、守りたいという気持ちが無意識の中にも込められているようで、それはどこか祈りにも似ているような気がします。その尊さを描きたいと思いました。

目に映る全てがキラキラ鳴り出して 風が吹いたらここが楽園

心を揺さぶられるようなものに出会ったとき、これまで見てきた世界に新しい色がつくような、そんな瞬間を表現したいと思いました。また、風という存在は、香りや季節だけでなく、想いや記憶といった目には見えないものも運んでくれるように感じます。そのため、私の作品には風がよく登場します。
そういった、自分にとっての嬉しい経験や、思い入れのあるモチーフを入れた作品に、「楽園」という単語を入れた短歌を添えたいと思いました。

君のその涙でドットに染まってもいいよ ストライプ柄でもいいよ

悲しい涙も、いつか希望へと繋がるものだと信じたいと、そんな思いでこの作品を制作しました。涙がぽろぽろと落ちる様子をドット柄、流れ落ちるさまをストライプ柄として服のデザインに取り入れました。涙というモチーフをポップで明るいイメージに変換することで、楽しい作品になればなと思いながら描きました。



作品タイトルを繋げると、一つの短歌になるようにしてタイトルを付けています。「どの句がどの作品に対応しているのか?」と考えながら観てみてくださいね。

(左)手を繋ぐ、(中央)これが祈りと信じてる 、(右)世界が逆さになったとしても


作品はArtas Galleryさんのオンラインショップでもご覧いただけます。


会期も残り3日となりました。
是非お立ち寄りいただけますと幸いです。どうぞよろしくお願いします!


サトウナツキ個展 ” 楽園より “

2024.11.09 Sat. – 11.25 Mon.
open 13:00 – 19:00
close Tuesday , Wednesday
観覧無料

Artas Gallery(https://artas.fun/gallery/
福岡市博多区店屋町4-8 蝶和ビル205


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サトウナツキ
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