ウェブストアスタッフが9月・10月に読んだ本
暑い暑いと言っていた夏が終わり、一気に気候は不安定に、そして秋へ……。体調を崩しやすい季節ですが、皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。
私は長く愛読していた漫画の連載が終わり、寂しいようなある意味ほっとしたような、そんな気持ちになっています。
それでは恒例のウェブストアスタッフが読んだ本・9月と10月分のご紹介です!
●ミケ・1冊目
「かめくんは、自分がほんもののカメではないことを知っている。カメに似せて作られたレプリカメ。」という内容紹介の一文を目にして、即決で購入した本書。落涙必至のなんとも言えないもの悲しさと寂寥感、そしておもしろさとあたたかさを感じる良書であった。
アパートに住み毎日仕事をこなし図書館に通いパンの耳を食べるカメ型ロボット「かめくん」。かめくんはしゃべらないが、様々なことを考え、自慢の甲羅に蓄積し、生きているのである。これが実にかわいい。私はもともとカメが好きであるのだが、のそのそと動いて生活するかめくんを想像するとなんだかにこにこしてしまう。
木星での戦争、「冬眠」、怪獣の襲撃、(兵士?)……通奏低音の不穏さを、ナンセンスでノスタルジックでユーモラスなメロディで覆い隠したーーさながらカメの甲羅のようにーーSF小説である。
またかめくんを取り巻く、ゆるさのあるニンゲンたちも魅力的だ。
本書のメインテーマは世界と自分の実存の哲学なのだろう。かめくんはかめくんであり、かめくんはかめくんでしかないのだ。それは諦念であり、同時に希望でもある。私はどうしたって私以外の何者にもなれず、世界は私のとらえている範囲でしか見えない。
ひどく寂しく、それでいてほの明るい終末感。夕方の空のような読後感であった。
■ノラ・1冊目
枕元に置いて、寝る前やお休みの日に、何となく開いたページをパラパラと読む、というのを繰り返していた本です。ひと通り読み終えたのでご紹介を。
この本を手にとったきっかけは、ますは執筆者。毎日のように動画を見ているQuizKnockの伊沢拓司さんや、曲をよく聴いているハンバート・ハンバートの佐藤良成さん、不思議な世界観の作品が魅力のクラフト・エヴィング商會の吉田篤弘さんなどなど、興味を惹かれる名前が多数。
ぜひ商品ページの執筆者一覧だけでも見てみてください。あなたの好きな作家さんも執筆しているかも!
それに加え、私自身体調を崩した時期があり、休み方について考え直さないと、と思っていたこともあります。
読んでみて感じたのは、「休み方」と言っても人それぞれだということ。体を休めるのもさることながら、スポーツや旅行で非日常の中に身を置くことが癒しになるという方も多かったです。うまく休めないという方や、休むことに後ろめたさを覚える方も…とても共感したし、励まされました。
そして私にとっては、こうして本を読んで、ぼんやり考えを巡らせる時間が一番お休みになっているのかも、と自然と思えました。
■ノラ・2冊目
アンソニー・ホロヴィッツの〈ホーソーン&ホロヴィッツ〉シリーズ最新刊!1作目の刊行時からずっと追っているシリーズなので、今回の第5弾も楽しみにしておりました!
このシリーズには、著者のアンソニー・ホロヴィッツが本人として登場。物語はホロヴィッツの視点で進行し、元刑事のホーソーンの活躍を作品にするべく事件捜査に同行します。実際に手掛けた小説やドラマの裏話なんかも書かれていて、どこまでが現実でどこからが創作なのかよく分からなくなる感覚も面白い!
今回はホーソーンが過去に捜査した事件が題材になっています。アガサ・クリスティの世界を思い起こさせるような、古き良きイギリスの村を再現したような高級住宅地で起きた殺人事件。当時の捜査資料を渡されたホロヴィッツは、事件の結末を知らないまま執筆を進めることに。はたして、作品はうまく完成するのでしょうか?
さらに、前作からちょっとずつ明かされていたホーソーンの過去についても、また少し進展が。続きが気になってしまいます。
また、作中のホロヴィッツはシリーズ第4作の『ナイフをひねれば』を執筆中。ホーソーンって、本当は実在の人物…?と思ってしまうような、物語が現実と地続きになっている感覚を味わえる仕掛けも、ファンとしては嬉しいです!
未読の方は、ぜひ1作目の『メインテーマは殺人』から読んでみてください。
いかがでしたでしょうか。
ちょっと更新の間が空いてしまいましたが、これからもnoteを更新していきますので、どうぞよろしくお願いいたします!