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子供に使わせたい筆記用具-こだわる理由とポイント-

うちの子供たち(小4、小2)が小さい時から、ずっと子供にとってベストの筆記用具を追い求めていました。文具店で、オンラインのクチコミで、山のように比較したり。実際に購入して試してみたものもかなり多い方だと思います。

高級品を与えたい訳でも、可愛いシリーズで揃えたい訳でもありません。目的はただひとつ。

「書く」を味方につけるために、苦痛なく「書ける」ようになってほしい。

子供用文具を吟味する根拠とポイント、実際に使ってきたものを紹介したいと思います。

「書く」が味方になるとどうなるのか

頭の整理は書き出すことから

算数の問題を解く時、物語を考える時、電化製品を選ぶ時、人生の選択を検討する時。どんな時でも、頭の中だけで考えるより、明瞭で、現状を把握しやすく、気づかなかったヒントに気づける方法があります。

それは、書き出すこと。

もう十分わかっていることも全部書いて、まだ疑問のままのことも「?」と書いて、頭の中にあった情報を全て紙に移してしまうと

  • 目から情報が再入力されて整理され

  • どこの部分が問題なのかが明確になり

  • 空いた頭のリソースが選択肢の比較検討に使われるようになります

より複雑な思考になるほど、書く→頭のメモリ解放、の恩恵は大きいため、子供のうちから徐々に身につけさせたいスキルの一つです。

ちなみに私の経験では、書くことは紙である必然性はありません。パソコンやタブレットでも、文章をストレスない速さで入力でき、必要に応じて手間なく図表を入力できれば同じような思考の形成は可能です。

「書く」ことが苦手になる二つの原因

ひとつ目:「手が疲れるか否か」

  • 鉛筆の持ち方
  • 筆圧
  • 筆記用具の性能
  • そんなこと?と思うかもしれませんが、ゲルインキボールペンと昔ながらの出の悪い固いボールペンを想像するとわかるのではないでしょうか。

    手が疲れる原因は直接の文具の性能だけではありません。鉛筆の持ち方にも大きく左右されます。癖のある鉛筆の持ち方は、前屈みや左右のバランスが崩れた姿勢に直接影響し、そして何よりダイレクトに手が疲れます

    そして、筆圧。特に小学校低学年では「はっきり書きましょう」と指導されるため力いっぱい書くような癖がつくと、高学年になって悲惨です。塾の授業1時間分のノートを、裏に跡が透けるくらい力一杯の筆圧でとり続けるなんて辛いことです。

    書いた文字がはっきり見えるかどうかは、完全に文房具の性能に任せるのが正解です。軽い力で書いたら、自分の文字が、しっかり・はっきり見える。これが全てです。

    ふたつ目:「書いた字がストレスなく読めるか」

  • 綺麗な字
  • 適切な間隔
  • めいっぱい数式をやマインドマップを書いても、汚い字・スペースがない詰め詰めのレイアウトでは、情報が整理されて目に入ってこず、書く効果が薄くなります。

    字の綺麗/汚いは沢山の要素が絡みます。うちでも試行錯誤を繰り返しました。

    • 思考スピードと書くスピードの差

    • 「綺麗な字の形」を知ること

    • 鉛筆の持ち方と姿勢

    前2つはまた別の努力が必要なのですが、3つ目にまた鉛筆の持ち方が戻ってきます。鉛筆の持ち方が悪いと、鉛筆の先=今まさに書いている文字が見えず、感覚だけで書くため字が綺麗になりません。

    適切な間隔の開け方は、隣について常にアドバイスをする以外良い方法を知りません。うちの子達には「ノートは勿体なくない。ページ丸々飛ばすなんかは論外だけれど、1行空けることを全然恐れないでほしい。というかむしろ空けてほしい」と繰り返し伝えています。

    以上を踏まえた「子供に使わせたい筆記用具」の条件

    • 正しい持ち方ができる

    • 力を入れず、はっきりした字になる

    この2つに尽きます。

    ベーシックアイテムを選んだポイント

    鉛筆

    なんといっても鉛筆・・(というわけでも実はないのですが)鉛筆はふと息子が「あれっ、この鉛筆書きやすい!」と言ったことがあったため、書きやすさと持ちやすさに焦点を当てて比較実験をしたことがあります。

    この中で息子が気に入ったのはステッドラー、私が好きだったのはhi-uniでした。品質はそれぞれ良いものなので、柔らかいか、滑りがいいかなど、ただ好みの領域の問題だと思います。

    やはり、景品などでもらうような鉛筆は引っかかる感じが強くて書き心地はかなり違います。大人になると鉛筆を使う機会も減るので、一度実際に使い比べてみると子供の気持ちがよくわかります。

    そしてもうひとつ大事なこと。芯の硬さです。小学校1年生では2B以上の指定が多いようですが、学年が上がるにつれて指定もなくなり、かわいいデザインのものを選ぶことも増え、気がついたらHB、なんてことはないでしょうか。

    学年が上がっても、2Bを使わせています。力がいらず、濃く書けるからです。

    結局、2B/三角芯のステッドラーのものに落ち着きました。高いんだこれが。(他の三角芯の鉛筆、メーカーものでもかなり引っかかりが強くて衝撃でした)

    消しゴム

    自分の文字がはっきり見えることが大事、つまり軽い力で綺麗に消せることも大事です。とはいえ、日本の文具メーカーが作っている消しゴムの中から選べばどれも優秀です。(もちろん、おもちゃの形をしたような硬い消しゴムは論外です)

    そうなると次に優先したいのが、使っているうちに折れないこと。あと小さくなってもカバーがだぶついた状態で使わないこと。両方カバーの問題です。

    家ではシンプルに、使いはじめからカバーを取ってしまいます。学校でもそれができるといいのですが、名前を付けられなくなるので外していません。

    サクラクレパスのアーチが、よく消える、カバーがアーチ形で割れにくい、しかもカバーにミシン目が入っているので使ううちに子供が自主的にカバーを短くしていく、と3拍子揃っていて愛用しています。

    鉛筆けずり

    鉛筆の芯が折れにくいので、カールのエンジェル5ロイヤルという鉛筆けずりを使っています。

    少し弓なりに削られるので丈夫、とのことですが、もうひとつ。「ロイヤル」の方には2段階芯調節機能がついています。削り方を鋭角にするか、色鉛筆など用に鈍角に削るかの切り替えがついています。

    子供が鉛筆で書きだす時に先が尖りすぎていると、ポキッと1、2mm折れてそのまま楕円になった芯先で書くようなことがあるのですが、この鈍角の方で削るとそれが防げてかなり優秀です。

    その前に使っていたものがものの半年で壊れてしまったのですが、エンジェル5は6年使っている現在、壊れる気配もありません。

    かきかたグリップ

    グリップも、もはやベーシックアイテムのひとつです。こればっかりは使わないと本当にわからないので、国内製品、海外製品と試しました。

    中国人の手書き文字が誰を見てもとても上手なので調べるとやはり、中国のかきかたグリップも沢山種類が出ていました。ただ結論的には、全然ダメでした。かきかた方グリップは日本のものが優秀です。

    グリップは、子供の鉛筆の持ち方の癖によって向いているものが違ってきます。うちの子達は2人とも、親指が人差し指に被りがちなので、柔らかさがなく親指をしっかりホールドするものを選んでいました。

    かなりの種類のグリップで、グリップがあるにも関わらず親指が変な位置になりがちだったのですが、はなまるくんが一番それが少ない+子供たちも書きやすさに支障がない、との意見で落ち着きました。

    指の位置こそ固定するものの、自分が鉛筆を持っているんだかもはや鉛筆をホールドしているグリップに指を差し込んでいるだけだかわからないタイプのグリップだと、外した時に無茶苦茶な持ち方に戻ったりするので要注意です。あとこのタイプは、ポジションこそ良いもののとても字が書きにくいです。

    使用場面ごとのチョイス

    正しい持ち方はっきりした字。シンプルながらも、あらゆる場面でこれを両立させるのは少しトリッキーです。

    自宅

    これまで散々鉛筆消しゴム鉛筆けずりグリップ・・と鉛筆前提で話をしておいてなんですが、自宅ではラミーの子供用万年筆を使わせています。

    • ペンを正しい角度にしないと書けない

    • 本体が太く指の部分が三角形になっているため持ち方が矯正される

    • 力が全然いらない

    • 書いた文字がはっきり見える(濃い、少し太い)

    • 書き損じを消せない(→丁寧になる)

    と、全ての条件をこれ1本で全部クリアするからです。下の子が5歳くらいの頃に導入しました。

    とはいえ万年筆は自宅学習用。宿題は鉛筆でしています。

    上の子は塾に通うようになった頃から、書く量が増えたため鉛筆シャープに切り替えました。鉛筆と感覚の似た0.9mmに2Bの芯を入れています。このタイプに更に自宅ではグリップを付けています。鉛筆と違って削らないためグリップの付け外しが不要で楽そうです。

    学校

    下の子の場合、小1の担任の先生が鉛筆の持ち方に熱心な先生だったため、なんと毎日教室でもグリップを付けて学習していました。でもそれ以外の場合、鉛筆を交換するたびにグリップを付け替えるのは手間だし子供もきっとつけません。

    鉛筆をステッドラーの三角芯に統一しているのはこのためです。六角形よりは三角形の方が指の位置が安定するので。

    鉛筆の持ち方とはちょっと違うけれど、塾の筆記用具は息子と話し合って別の点で選びました。テキストやノートで場所を取るのと、板書に色ペンの使用を指定されているため筆箱の中身の出し入れが頻繁になる、という問題でした。

    スリムで、蓋を開いたまま磁石で固定でき、卓上でそのままペン置きとして使える筆箱です。よくある立てる方式は小学生の息子だと倒して逆に惨事を招きそうなのでやめました。

    中に入れるものも、煩雑にならないよう必要最低限にしました。

    • 鉛筆シャープ

    • 替え芯

    • 消しゴム

    • 赤青2色ペン

    • 定規

    だけを入れての利用です。

    デジタルでは

    そしてその後、息子は引っ越しに伴い塾をオンラインに切り替えました。講義をiPadで見て、電子ノートにテキストやノートを表示させて使っています。

    ステッドラーのノリスデジタルジャンボ。標準搭載のペンは重く、サイドスイッチが不要時に発動したりということで軽そうなスタイラスペンを探していた時に見つけました。

    ここまできても三角軸・・!自分でもちょっと可笑しかったのですが、本人はも「持ちやすい!丸いペンよりずっといい」と気に入っているようです。おしりに消しゴム(ちゃんと消しゴム機能に切り替わります)が付いているのも良いみたいです。

    筆記用具環境を整えた結果は?

    上の子が文字を書くようになって5年ほど。吟味した甲斐はあったでしょうか。今のところ、このような感じです。

    上の子

    • 姿勢-いい

    • 筆圧-少なめ

    • もち方-綺麗〜急ぐと親指の様子が怪しい

    • 字-美文字ではないけれど、まあ読める

    • 書き出すクセ-算数では身についてきた

    下の子

    • 姿勢-だいたいいい

    • 筆圧-少なめ

    • もち方-だいたい綺麗。まだグリップで矯正中

    • 字-気合が入るととても綺麗。それ以外はひどい

    • 書き出すクセ-ぜんぜん

    なかなか、簡単にはいきませんね。

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