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センチメンタリズム。

寂しさが好き。
金木犀の香りに包まれる、冷たい夜。
温もりが欲しくなる、この感傷的な世界。
この寂しさが好き。 非常に悲観的な、
一見、客観視すれば考えられない。とも思える
この世界観。
いつからか、私は 誰かに自分の価値づけや、
幸せを求めなくなった。

人生、少しくらい満たされない事がある方が
私にとっては居心地が良くて、
全てが幸せな事はかえって、居心地が悪く、
不安に苛まれるからだ。

いつかは、全てが容易く崩れて 大切なものが
一瞬にして、消えて跡形もなくなることを、
私は知っている。
何かに期待をすればするほど、
失った時の喪失感がいつまでも 付き纏ってくることを、私は知っている。

「この想いに気づいて欲しい、
自分の想いを可視化して誰かに届けたい。」
そう思う事を、私は今まで、
エゴだと思って生きてきた。
伝えても、届くわけがなくて、 私だけが 感傷的な世界観にいるだけだと思っていた。


でも、きっと私だけじゃない。
言えない想いを、心の中に留めて
言わないことが世の中の常識と化して
苦しんでいる人が山ほどいるはずだ。

言いたくても、言えない。
理解して貰えないから、 聞いて貰えないから。
ただ、考えて生きているだけなのに、
自分と向き合っているだけなのに、
重みの無い言葉で片付けられてしまうから。

今、私達が生きているのはそんな寂しい世界だ。
四角い液晶画面に私の求める愛はない。

本当に大切なものは、人と人の会話。
私達に足りないのは 互いを理解しようとする
努力、優しさだ。

大切なものはいつも容易く見失う。
本来、傍に置いておくべきものなのに、
このご時世、時計の針が私達を急かし、誑かす。
見えない物に煽てられ、見えない物に惑わされる。

こんな世の中だからこそ、私は綴る。
たとえそれがエゴだとしても、
私の感性が 誰かに届き、
誰かに寄り添うことが出来たら、
きっとこの世はまだまだ 温かい。

金木犀の香りは、
私をセンチメンタルにするけれど、
寂しささえも、好きだと思わせるけれど、
私をまたちょっぴり大人にさせる。

静かな夜、吹き付ける冷たい風、
そんな夜、 少しでも 多くの人が
優しい気持ちで自分と、他の人と、世界と
向き合えますように…。

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