日記:本屋は町の思想

 自転車をしばらく走らせると国立駅に着いた。JR中央線ユーザーだった頃は電車で通過はしていたが今まで下車したことなかった。

 初めての町に来た時に本屋があれば必ず入るようにしている。店員の癖、そこの利用者がどんな知識を物語を欲しているのか知りたいからだ。ブックオフもそれぞれの店舗ごとにクセがあって良い。

 人気の漫画や小説はあまりどこも変わらない。

 この書店は1階と地下があり、エスカレーターで1階から地下に行く際の本たちの中に潜っていく感覚は何とも言えないわくわくというかもっとぞくぞくに近い形容詞しがたい気持ちになる。
 
 国立駅周辺は一橋大学があるためか、哲学系や経済、法律の本など私からすると堅苦しく感じてしまうものが多い印象だった。より専門的な本はきっと大学図書館や購買にあるだろうからこれでもマイルドな方なのかな。大学生でなくともそういう事象に興味がある人が住んでいるのかもしれない。

 子ども向けのエリアも小学、中学受験のハウツーや過去問が店の規模の割に多かった。

 国立駅近辺にある宗教施設?会館?があるからか、その宗教の関連本もしっかりとある。

 世代に関係なく勉強熱心だなあとしみじみ思った。ただ全てが堅苦しいのではなく、わかりやすく漫画になっていたりやさしい言葉で書かれているものもあったりと気を張らないで知っていこう感。素敵。

 地下から1階に戻る際は昇りエスカレーターがないので階段を使わなければいけないのだが、それが中々見つからない。見渡す限り本棚で階段がある面影がない。
「おや、このシチュエーションはクローズドかな」
そう思った時に目に飛び込む「クトゥルフ神話 TRPG」の棚。

私が本屋を読んでいるときに、私は書店員に読まれているのかも知れない。


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遠藤月尾
文芸活動のための資金にしたいと思います。