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映画【ラストエンペラー】死ぬまでにあと50回は観る

私の父は浅く広くの映画好きで、ジャンル問わず色んな映画を観ています。
私が子供の頃は、夜8時就寝、夜更かし厳禁でした。
年末とお正月だけ、遅くまで起きてて良かった。

そういう時は、父と映画を観てました。
【ベン・ハー】と【エレファントマン】は何度も観た。
(デヴィッド・リンチ監督のご冥福をお祈りします。)

私が本が好きなのは読み聞かせをしてくれた母のおかげであり、映画と歴史が好きなのは父の影響です。

父は、徳川埋蔵金とか、日本軍の隠し財宝とか、UFOとか、ピラミッドとかが好き。
父は広く浅い雑食タイプ。
私はそれを、一個づつ本を読んで調べていくタイプ。
より詳細に、より深くが、私のスタイル。
徳川模造埋蔵金とUFOにはハマらなかったけど、日本軍とエジプトには見事にハマりました。

何の役に立ったか?
こういう出来事がありました。

夏休みの子供のしかいない我が家に、近所のエホバの証人のおばさんが勧誘が来るの。
そして(楽園)の話と(洪水) の話と(ハルマゲドン)の話をする。

内心思っていた。
ノアの方舟の事なら知ってる。
ラムセス二世の事もね。

そのおばさんが、『また来週お話しましょう』と帰って行った。
じゃあ、お話しする材料を作りましょう。
その後、私は(出エジプト)の(海が割れて約束の地に行く)話を図書館で調べ上げ、
・割れたとされる海が不明な事。
・偏西風で海の高低差ができる場所が紅海にはあるが、海は割れない事。
・ラムセス二世は悪者ではないと思った事。
を模造紙にまとめた。
私は学校では名うての壁新聞係だったのだ。

次の週、それをエホバの証人のおばさんに読んで聞かせ、『素晴らしい検証ね』と言われた。

他人を叩きのめしたくなる私の悪い癖が出た。

数日後、そのおばさんにスーパーで会った母が『賢いお嬢さんですね』と言われたらしく、母に『大人を馬鹿にして』とひどく叱られた。
父は『宗教の勧誘で壁新聞を準備までして考古学の話されても困ったろうね』と笑っていた。

というのは前置きw

父と2人でお出かけする時は、だいたい映画館でした。
妹が4歳下なので、一緒の時はドラえもん率高い。
父は洋画、私たちはドラえもんと入り口で分かれたりね。

小学生の時、「これが観たい‼︎」と、父と劇場で観ました。
【ラストエンペラー】

紫禁城と中国の赤と皇帝の黄色

映画館に看板が大きくおどろおどろしく看板が出てた。
題字が、和田勉じゃなかった?

当時、このCMがバンバン流れてた。
「世界がひれ伏す」って、気になる!

3時間超、黙ってじっと観て「面白かった」と言い、その後レンタルビデオでも何度も何度も観たがるので、父は『あー、変なのにハマったな』と思ったらしい。

そこから、溥儀の自伝の(我が半生)や、ジョンストンの(紫禁城の黄昏)を、物凄く時間をかけて読んだ。

中国というか、溥儀に清王朝に沼ってしまう小学生。
史実と映画はかなり違う事も知ります。

即位式の幼児から少年期の子供の役者さんは違和感ないんだけど、なんていうかジャイアン味が強いw
もやしっ子感がない。

←ジャイアンから急なジョンローン寄せ→

青年期とジョンローンで、別人級の雅な美少年になるのだけど、あのジャイアンが?ってなるのよw

この映画、全編英語なので、もし中国語だったらかなり雰囲気違ったと思うし、幼年期はジョンローンに繋がりやすい俳優さんだったかも。
ラストエンペラーに端役で出演してる大好きな陳凱歌監督の【覇王別姫】だと、子役からレスリーチャンへの繋がりスムースだもん。
言葉の壁が大きい。
中国語だったらなー。
ま、監督イタリア人だもんw
東洋への憧れがここまで具現化される(変なところはあるけど)って凄いよ、やっぱり。

そして、日本の侵略戦争について、考えるようになりました。
甘粕正彦、あんな激昂型じゃないんだけどな。
※教授のあの雰囲気、出すための演出だったんんだろうけどね。

ただ日本の侵略だけが問題じゃない事も、世界史レベルでわかってくる。
国対国では、どっちが悪いって話になりがちなんだけど、大局的に言うとそれもどうかななんだよねぇ。
アジア差別、スラブ差別、ユダヤ差別と、まぁ根が深いので、簡単に語れるような話じゃ無いわね。

溥儀が東京裁判で日本を売ったとか、日和見主義で根性がないとか言う人多いけど、生まれた時は王子様で2歳から皇帝の生活してた人に他にどんな選択肢があったと思う?

中華皇帝ってね、一般人が思ってる10億倍くらい育った環境も地位も財力も全く比べられないくらいの人なんだよ。

中華皇帝が何か?
Son of Heven で天子。
龍の子が天子。
天子が徳を失い、天宮からいなくなると、空が地面に落ちてくると言われて育つんだよ。
子供だから、身の自由のなさをすべて宥められながら、紫禁城に閉じ込められる。
溥儀は、自分がその辺にいつもいる使用人を叩いたら、『叩いたら痛いんだ』と理解したの7歳。
使用人は、(愛新覚羅家の奴隷で、自ら志願してきた去勢された男)とか特殊環境すぎるでしょ。

外の世界は中華民国。
紫禁城の中は清朝。
この歪みは溥儀のせいじゃなかったし、全世界で日本大使館(日本国としては受け入れ拒否)にしか受け入れ先もなかった。
そこからはご存知の通りです。

どうすれば良かったか?
なんてこの世の存在しない。

その時のその決断しか、その時はなかったのよ。
全て、そうだよね。
人生なんて決断の繰り返し。

王子様が泥舟に沈むんだよ。
お姫様を王子様が救いに来る訳ない。
お姫様は阿片に溺れ死んだり、離婚して極貧で死んだり、殺されてたりする。
王子様も助けを待ってるんだから。

インパクトが大きいから、溥儀のセクシャリティが度々話題になるし、バカにするような風潮だけど、それは本人にしかわからない。
落ち着いて暮らしたの、本当に死ぬ前の数年だけで、最晩年は文化大革命が始まった。
個人的セクシャリティは重要じゃない気がする。
確かに子供いない事は、支配者としては大問題だろうけど、今となってはいなくて良かった。
張学良みたいになってたかもしれん。

運命に翻弄されたって言葉がこんなにピッタリくる人いないよ。

紫禁城の美しい映像だけでも是非。
明と清の皇帝が住むお城、紫禁城。
世界文化遺産だよ!
行ってみたいけど、中国の衛生事情が信じられないので滞在が怖くて行けない。
だから、あと50回は観て紫禁城を堪能する。

私の中国の入り口はコレだった。
憧れの中国だったんだけどね。

今日はコレ観ようかな。

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