ダンテ論/原 基明
歴史が好き高じて、宗教史、特にキリスト教神学に興味があります。
中世キリスト教文学の金字塔『神曲』の著者ダンテの研究書です。
神曲は復活祭(イースター)から始まる叙事詩で、地獄篇 (Inferno)煉獄篇 (Purgatorio)天国篇 (Paradiso)と続きます。
ちょうど今頃から読むにはピッタリ♡
ホントに?w
日本では神曲を読んだ事ある人の方が少数だと思うんだけど、イタリアでは学校教育で3年くらいみっちりお勉強するくらいカトリック圏では馴染みが深く、よく知られています。
神曲に登場する初恋の相手ベアトリーチェは実在するんだけど、実際に接点はほぼなかったらしい。
見かけた、わざと避けた、嫌われた、お互いに結婚した、ベアトリーチェは24歳で死去。
そこから、ダンテの熱狂的ベアトリーチェ信仰が始まる。もちろん、ダンテには妻がいる。創作活動を邪魔しないほうがいいだろうからと、ほっといたんだろう。
だけど、ベアトリーチェが生きてたら、「コレラの時代の愛のフェルミーナ」みたいにされちゃいそうだなって思っちゃうよ、私はw
神格化され、穢れがないベアトリーチェを本人が望んでるか別として。
当時はフィレンツェが政治的にもとても難しい時期で、ダンテ自身もプリオーレ(選ばれた名士)として、政治に積極的に参加していた。
アナーニ事件でお馴染みの教皇ボニファティウス8世(通称 ボニはっちゃん)と対決して、フィレンツェ追放された一派のダンテは、神曲の中で教皇庁ごと地獄に叩き落したり、結構激しいキャラクターで、そしてかなり粘着質なのだ。
これぞ、イタリア人🇮🇹
未だに、ダンテの追放を無効にする裁判やってます。
フィレンツェは、地元ゆかりの偉人ダンテのお墓やらを移築してほしいようだけど、末裔にはうっすらお断りされているんだって。
この本は、ダンテ様ー♡みたいなことは一切なくて、「今までのこの解釈は違うと思います!」って結構書いてあって、ちょっと面白い。
あと、読み手にある程度のキリスト教に関する知識と、中世イタリアの歴史が予備知識で入ってないと、すぐ置いていかれると思ってしまった...。
私は途中で神曲も読み始めたので、雰囲気を掴めば大丈夫だと思うけど、結構時間かかった。
魔の中世とよく言われるが、中世とルネサンスは陸続き。
ルネサンスの布石になったんだからすごいよねー。
出てくる人物がみんな濃いキャラクターなんだけど、著者も熱い!!
勢いに負けて2周目読んでます。