ロマンスで死ぬ

この手から花が落ちたとき
ロマンスは心の中で死ぬ
見てはいけないものだと
周りは目を伏せ通りすぎる
叫びはどこへ向かって
願いはどこに向かって
まだ、私は知らない
しかしもう朝はそこまで迫っている

アスファルトを打つ足音が
リズムを乱し訴える
タバコをくれ 酒をくれ ペンをくれ
睨まれる前にやらなければ
通り過ぎる前に言わなければ
体が散り散りバラバラになってしまう

案内所に駆け込んでみるが
しかしそこは水先案内人がいない波止場で場違い
どこへいけば、いいのか?訪ねれば
造花をもった女たちが出迎える
濁ったピンクが、すでに枯れたはずの花が
虚飾をまきちらす

いきたいのはここじゃない
向かうべきはここじゃない

ならばすこしの間目を閉じて 
夢の中に潜ろう
しかしでてくるのは嘘ばかり 華やかな嘘
現実ばなれした理想郷
ここにおいでと手招く天使
夢でさえ、羽がない私はそこへはいけない
脆く咲いた花をちぎって作るけど
飛び立つ前に散ってしまう
まっててください 今いきます
目を覚ませば、ぬるま湯に浮かぶ体
鮮やかな紅い花が排水溝に咲いている

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