聞き手を動かすプレゼンテーションを学ぼう
出会い
もう15年くらい前になる。
「社長へは一枚の絵で説明しないといけない。頼むぞ。」
絵で説明するの?
30歳になったばかりの私は頭を悩ませていた。
文章なら一枚の紙で十分なんだけど。
さっそく絵を描くために、コピー機のトレイからA4用紙を何枚か抜き取り、机の上でペンを回しながらぼんやりと想像を巡らせてみた。
うーん、何も描けない。
何かヒントはないかな。ここは本屋に行ってみよう。
会社帰りの書店で巡り会ったのがこの本だ。
マッキンゼー流 プレゼンテーションの技術 ジーン・ゼラズニー著
家に帰って分厚い事業企画書をカバンから引っ張り出し、しばらくの間にらめっこした後、いくつものフォーマットに書き込まれている内容を今回の説明用にシナリオ化することにした。社長へのプレゼンテーションの時間は10分しかない。
こんな分厚いのを一枚の絵で、しかも10分で説明するなんて無理でしょ。
ちょっと待てよ、さっきパラパラ立ち読みしたマッキンゼーの本に「30秒から1分で要約できないものはない」とあったな、しまった買っておけばよかった。。。
ということでアマゾンだったか楽天ブックスだったか忘れたがネットで注文。
よく考えると仕事に必要なので、書店で経費で買えばよかったと思いつつポイントが大量にあるからいいや自分ので。この判断が良かった。今も手元にあり重宝している。
15年前の自分は、届いた本をまずは一回サラっと読んでみた。目の前にすぐに目標があるからなのか、頭の中に積極的に知りたい欲がある状態だったので、スイスイと内容が理解できた。メッセージをチャートにする演習もあって楽しい独り学習だった。
なぜプレゼンテーションをするのか?
説得したい相手は誰か?
聞き手は何を求めているのか?
この3つを整理した上で作ったプレゼンテーションのシナリオ作成術は、私のプレゼン力にとても貢献してくれたのは間違いない。
上記はプレゼンテーションを行うにあたっての状況確認という前行程の一部であり、この本にはその後プレゼンテーションの設計や資料作成、本番のプレゼンテーション実施時のノウハウやテクニックが詰まっている。
出版から20年近く経った今でも十分に役立つ内容で、私のいくつかある仕事バイブルの一つだ。
そもそも私は社会人になって働きだしてからプレゼンテーションというものを、この時に初めて論理的に学習したのだった。プレゼンのやり方、話し方、心構え。思えば、20代の頃は営業に配属されてからお客様への提案などさんざんやってきたがプレゼンは全て我流。果たしてプレゼンテーションの体をなしていたかどうかも定かではなかった。
仕事をしていればプレゼンをすることは必ずある。
相手を説得し共感を得ることは、誰にとっても容易ではない。
もしこれからプレゼンのやり方を学んでみたいという人には、この本にサラッと目を通して、手の届くところにおいていただくことをおすすめする。
この本にある演習は、プレゼンだけではなく物事をわかりやすく伝えるための楽しい演習であり、効果的な訓練となる。そして湧き上がるアイデアをノートやスケッチブックに描くこと。自分の伝えたいことを単純明快に描くことは重要である。
「社長へは一枚の絵で説明しないといけない。頼むぞ。」
この言葉がきっかけで、この本に出会いプレゼンテーションに興味を持つことになった訳だが、この時の社長への説明はうまくいったのか?
一枚の資料で10分で説明したものの一回のプレゼンテーションでは、事業企画は承認されず、その後二回ほどのプレゼンを経て無事承認された。
一枚の資料とあるが、私はズルをした。
スライド9枚をA3一枚に割付印刷
ズルも方便、今では私の愛用テクニックとなっている。
アフターコロナのプレゼンテーションを想像しよう
さあて、皆さん。
アフターコロナは「プレゼンテーションのノウハウ」にも大きな影響を及ぼすでしょう。
プレゼンの構成や内容をノートやスケッチブックに描いたとして、これまではパワーポイントやKeynoteなどに表現することが多かったことでしょう。
パワーポイントやKeynoteを自分のPCからプロジェクターや大画面モニターに映し出しながら、直接聞き手に語りかけるのが常套手段であった訳です。
もうお分かりでしょう。アフターコロナの世界では、WebEXやZoom、Teamsを使ってオンラインで社内ミーティングやウェビナー、更には商談まですることが当たり前になってきます。
すでに世界は動きだしています。オンラインでどれだけ聞き手の心を揺さぶり動かすことができるのか?
そんなのYouTuberが一番得意だって?
中田のあっちゃん、面白いねえ、うまいねえ。
ホワイトボードの使い方も上手だなあ。
そうじゃない、ボリス・ジョンソン首相のような語り口が必要なのだ!という見方もある。
この6分の語りオンリーで、国民に家から出ないように説得を試みている。見事なプレゼンテーションとしか言いようがない。
もちろんこんなプロフェッショナルの見事なプレゼンをいきなり普通のビジネスマンにできるわけもない。
でも参考にはできる。
ビジネスマンのプレゼンスタイルは変わる。
なにせ聞き手に与える、聞き手から得られる情報がデバイスの向こう側だと少ない。相手の反応や場の空気を察知することが難しい。あっちゃんやジョンソンも決していきなりテクニックを身につけていたわけではないだろう。経験と研究を重ねるしかない。
オンライン飲みでもいい、とにかくやってみて感触を得ながら試行錯誤してみることをおすすめする。
リアルタイムという意味ではYouTubeよりはインスタライブに挑戦している人も多いだろう。どんどんやってみよう。
最後に
おっとその前に。
なぜプレゼンテーションをするのか?
説得したい相手は誰か?
聞き手は何を求めているのか?
この本を読んでおくことをおすすめします。
大事なことは変わりません。
それではまた。