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大学入学共通テスト2025 解説【数学Ⅱ・数学B・数学C】
今回は,共通テスト2025「数学Ⅱ,数学B,数学C」および旧課程の「旧数学Ⅱ,旧数学B」を解説します。数学Ⅰ・Aと同様,こちらも手書きのものをスキャンして貼り付けたものになるので,予めご了承ください。
数学Ⅱ・数学B・数学C(新課程)
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旧数学Ⅱ・旧数学B(旧課程)
第1問~第3問,第6問,第7問は,新課程との共通問題。
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講評
学習指導要領の改訂により,「数学C」が新設され,共通テストでも出題されることになった。数学Cには,旧数学Bで扱った「ベクトル」と旧数学Ⅲで扱った「平面上の曲線と複素数平面」が移行される。よって,共通テストの出題としては「平面上の曲線と複素数平面」が追加される形となる。これに伴い大問数も増加し,これまでの2問必答+3問中2問選択から,3問必答+3問選択となった。解答時間も10分増加したので,計算量も増えることになろう。
とはいえ,出題内容・問題形式としてはこれまでと同じだったという印象。設問別の感想は次の項に譲るとして,出題分野は以下のとおり。
【新課程】
第1問 三角関数:三角関数の性質,加法定理
第2問 指数関数と対数関数:常用対数
第3問 微分法・積分法:導関数,定積分,面積
第4問 数列:等差数列の和,等比数列の和(格子点の個数)
第5問 統計的な推測:正規分布,統計的な推測,仮説検定
第6問 ベクトル:空間ベクトル
第7問 平面上の曲線と複素数平面:複素数の偏角,複素数の表す図形
【旧課程】
第4問 三角関数:tanの加法定理,直線の傾き
第5問 確率分布と統計的な推測:正規分布,母平均の推定
難易度としては,以下のとおりとしたい。
【新課程】
第1問 やや難 第2問 標準 第3問 やや難
第4問 やや易 第5問 標準 第6問 やや易 第7問 標準
全体として,標準
【旧課程】
第4問 易 第5問 やや難
全体として,標準
設問別の感想
第1問は,三角関数の単位円における意味を考えさせる問題で,非常に良問であるが,多くの受験生にとっては難しく感じたことと思われる。特に,sinについて点PとQのy座標がつねに等しいことがわかっても,それをαとβの数式に落とし込むのに苦戦する。また,⑵ではcosについて同様に求める必要があり,非常に難度が高い。
第2問は,「1日ごとに1.32倍になる」ということからrの累乗になると気づければ難しくなかった。昨年度は出題が無かった常用対数表の読み取りも復活した。
第3問は,F(x)とG(x)の導関数がいずれも同じであるという点から,両者のグラフの概形が同じであることに気づくのが第一歩。極大・極小となるxの値に注意すれば,増減表を書くのは容易で,⑵ⅰまではスムーズに解けるだろう。⑵ⅱは,積分計算を正確に理解していないと難しい。
第4問は,格子点の個数に関する問題で,類題を演習していれば簡単だっただろう。特に判断に困る部分はなく,⑶も,恒等式の考えを用いれば計算量が少なくて済む。
第5問は,例年同様の母平均に対する信頼度95%の信頼区間を考える問題で,問題文に沿っていけば方針は立てやすい。仮説検定に関する出題もあったが,その方法は丁寧に示されているので,難しくはないだろう。
第6問は,空間ベクトルに関する問題。やや計算量は多いものの,誘導にしっかり乗れば方針に迷うことはなく,解きやすい。
第7問は,平面上の曲線に関する出題はなく,複素数平面のみからの出題だった。偏角に関する問題は定番であるが,類似の演習を行っていたかどうかが理解の分かれ目だろう。⑶は,ⅰは誘導に乗って計算できたか,ⅱⅲは複素数の性質を理解できていたかがポイントである。
旧課程第4問は,これまでにないタイプの問題であるが,内容としては三角関数であり,これまでの第1問〔1〕で多く出題されてきたものである。傾きを求めるのでtanを計算することになるが,加法定理の公式が示されており,非常に親切である。加法定理は教科書の範囲外ということは無いはずであるから,ここまで丁寧に示す必要はないと思うので,その意図は疑問である。⑴の最後に方程式・不等式が表す図形を考えることになるが,これは新課程第7問の複素数の表す図形とのバランスをとった問題なのだろうか。
第5問は,いつも通りの統計的な推測に関する問題。信頼区間の幅について考えるのは珍しい(新課程の出題に合わせたのだろう)が,問題文を丁寧に読めば難しくない。
旧課程の第4問が非常に解きやすかったことと,新課程の第7問が受験生によっては解きにくく感じうることを考慮すれば,わずかに旧課程の問題の方が簡単だったかもしれない。だが,やはり,誘導に乗ってそれを自力で運用する力と,本質を理解する力が求められていることには変わりない。毎年のことであるが,単純な問題演習だけでは解けず,こうした「思考力」を必要とする問題であり,すばらしい良問ぞろいである。
解説は以上です。次回の投稿からは,追試験・再試験の解説をしていく予定です。