お別れは青空
ご近所の方が旅立たれて、最期のお見送り。
良い方だった。本当に優しい、良い方だった。
「みんなのために」が服を着ているような方だった。
歩道の横の草刈りを黙って一人でずーっと、何年も黙々と。
少しでも日陰をって、花の咲く木を植えたり。
そうやって植えられた紫陽花なんか、そりゃあ見事に大きくなって、わたくしが見惚れて写真撮っていたら、知らないうちに後ろでニコニコ見ていらっしゃった。
「みんなのために」
それは時として「道楽」だの「物好き」だのの言葉を連れてきたりしたけれど、でも、意に介さなかった人。
やっぱさー歳とったら・・・こうありたいよねって友達が言う。
最期に残るもの。
託すもの。
柄にもなく、そんなことを考える。
良い方だった。
笑顔の綺麗な方だった。
「性分だったからねえ・・・」
笑う奥様の視線の先に青空。