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凛々往く道

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7年間の自宅介護で父を看取った私の日々。
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#自宅介護

私を呼ぶ声

初めてのことだった。 知らないことばかりだった。 守らなくてはいけない。 守りたい人。 しっ…

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やがて十連休

やがて、10連休が来る。 皇太子が即位される2019年5月1日を1年限りの祝日にすると首相…

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台風の中で

あー怖かった。 子どもの日記みたいだけれど 怖かったんだから、仕様がない。 雨どいが吹っ…

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あと何回のどら焼き

友人の嫁ぎ先のお義父さんは 甘いモノが大層好き。 それはそれは美味しそうに。 好物のどら焼…

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あの微笑みは

父が退院する時、担当だった若い看護婦さんが その日はお休みだったにも関わらず、わざわざお…

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畑の不良

母がお昼になっても、畑から帰ってこない。 「不良だわ」 こんなに雨が降っているというのに…

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Memories Photo

父はカメラ、写真が好きで わたくしが小さい頃は 家で現像までやっていた。 当時、その現像するための設備というか、機械の数々を購入することは、 一介のサラリーマンにとっては、随分高額なものだったから贅沢以外の何物でもなかったそうで、思い出話をする途中で、母は 「貴方が妙なものに凝って、 値段を考えないのは、 お父さんに似たのかもしれないわねえ」 と、決まって、言う。 部屋をすべて閉めまわして 臨時の暗室にすると 「絶対ここを開けちゃいけないぞ」 それが現像開始の合図

豆ごはん

父は特発性血小板減少性紫斑病という難病だった。 それは血小板が減少して、血が止まりにくく…

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格好いい人と話した

好きなものは、突っ込みながら愛でるってのが、わたくしのスタイル。 友人達には理解してもら…

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使わないんじゃないんだ

皆、結局、家にいたいのだなあって、何度も思った。 思ったんだったよ。 もちろん、それぞれ…

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彼のケース

「俺だって、頑張っているじゃないか!!」 今日の仕事もハードだった。 全く近ごろの若い奴…

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彼女のケース

いつの間にか時間だけが過ぎていた。 彼女の仕事っぷりは堅実で、 同僚たちも上司も、大きな…

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ありがとうを抱えて

「それは、かなんな~。嫌やんな~」 「なんかもう、そない、年取って見えたんかな~って、ほ…

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父の時計

父は 時計が好きだった。 というか 若干 フェチの様相を呈していた。 男の人の方が 収集癖があるって言うけれど 本当かもしれないね。 1分でも遅れてはいけないのだと 竜頭を巻いていた姿 今も目にうかぶ。 身体が思うように動かなくなった頃 弟が来て、そのささやかなコレクションを欲しがった時 父は、「ああ、好きなものを持っていけ」と、とても嬉しそうだった。 だけれども 何日もしないうちに 「tonchiki、時計が欲しいんだが」 はあ~~??? と、わたくしは思った