骨盤矯正の3つのウソ
骨盤矯正でよくいわれている効果について
よく骨盤の歪みに対して骨盤矯正というアプローチを聞くと思います。
骨盤矯正の効果で言われることの中でも多いのはこの3つです。
①足が細くなる
②腰痛が治る
③産後の骨盤の歪みのケアに必要
実際に効果を感じる人もいれば、そうでもない人もいると思いますが、今回は骨盤矯正をするとなぜこのようなことに効果があると言われているのか?という点について、運動学的な視点から解説していきたいと思います。
なぜこのような話ができるかというと、私は脊柱、骨盤へのアプローチに特化した、姿勢改善の施術サービスである、「キネスティックセラピー」を通して、姿勢に関する知識や経験を実践的に学んでいます。
加えて、解剖学や運動学に精通している「理学療法士」の資格も所有しており、8年間現在も進行形で学び、患者さん、利用者さんと向き合ってした実績があります。
今回の内容をわかりやすく伝えることができると思っています。
効果は人による
結論からお伝えすると、先程の3つの内容については、効果が出る人もいれば、全く出ない、もしくは状態が悪化する人などさまざまいると思います。
一概に効果が認められているわけではありません。
そもそも、骨盤矯正と言う手技があるわけではないので、セラピストの実力やアプローチの考え方に依存するところが多いと思います。
骨盤矯正とは、「骨盤の歪み」に対して行うものと考えられますが、骨盤はそもそも歪みません。
骨盤の動きは左右の骨盤の傾きによって表すことが多いですが、その組み合わせによっては歪んでいるように見えているだけで、通常の動きの範疇を超えるものではないと思います。
詳しくは↓
確かに骨盤を骨折されて、手術によって整復している人のレントゲンを見ると、骨のくっつき方によっては歪んでしまう人は、過去に見たことがあります。
ですがそれはあくまで特殊ケースです。
そのため大事なことは、骨盤の歪みと言っているものが、本当は何なのか?ということです。
骨盤の動きは左右の骨盤の傾きで表されると言いました。つまり、骨盤の傾きで考えていくことで、先の①〜③の疑問も解決できるのではないかと思います。
順番に説明していきます。
骨盤矯正のウソ①足が細くなる
よく言われるのは骨盤が歪むことで、足が太くなってしまい、足を細くするために骨盤矯正を受けると言うものです。
骨盤の歪みによって足が太くなるとは、いったいどう言うことでしょうか。
運動学的に考えると、骨盤の歪みは左右の骨盤の傾きで表されます。
詳しくは↓
骨盤の傾きの方向によっては、膝の動きに影響して、筋肉の負担が強くなり、太く見えることはあり得ますが、人によって骨盤の傾きのタイプは異なるので、骨盤の歪みが足が太くなる理由にはならないと思います。
骨盤矯正の手技にもよるかもしれませんが、骨盤がどちらに傾いているかによって、アプローチの方法が異なりますし、足の細さは骨盤の傾きだけで決まるわけではないので、骨盤矯正だけで、足を細くすることは難しいと思います。
もし、骨盤矯正のアプローチを受けて脚が細くなったという方がいるのであれば、それはあなたの骨盤の傾きの修正に必要な要素が、そのアプローチに入っていたということになります。
それが意図的か、たまたまかはわかりません。
骨盤矯正のウソ②腰痛が治る
これもよく聞く話だと思います。
確かに骨盤の動きと腰の動きは、連動しているので関連性は高いと言えます。
ですが、骨盤の傾き方によって腰の動きも変わってくるため、傾きによってケアするべき筋肉も変わってきます。
さらに姿勢では、腰だけでなく身体全体でバランスをとるようになっているため、腰以外にも骨盤の動きに連動して動く箇所がたくさんあります。
詳しくは↓
骨盤の傾きが腰痛を引き起こす原因であるときもあれば、腰痛の結果骨盤が傾いている場合もあるのです。
そのため、仮に骨盤が歪むとしても、一概に骨盤が歪んでいるからと言って、痛みが出るとは限らないのですし、骨盤矯正をしても腰痛が治るというわけでもないのです。
この場合も、骨盤矯正を受けて腰痛が軽減したことのある人は、骨盤の傾きとアプローチのポイントが合っていたためと考えられます。
骨盤矯正のウソ③産後のケアに必要
最後は産後に骨盤が歪むため、骨盤矯正を受けたほうがいいという話です。
産後に骨盤が歪むと言うは話に関してですが、
妊娠中や産後の女性は、ホルモンの影響で骨盤周辺の靭帯と言われる部分が柔らかくなっています。
これは出産時に産道を大きく開けるようにして、赤ちゃんを安全に生むためのものです。
ホルモンのバランスはすぐには元に戻らず、産後もしばらく続いています。
そのため骨盤を固定するための靭帯がまだ緩い状態になっているため、その時期に重たい物や、激しい運動をすると、靭帯が緩んでしまい、ホルモンのバランスが戻って、靭帯が硬く戻ったとしても、骨盤の不安定性が出てしまう可能性があります。
この骨盤の不安定性のことを指して、骨盤が歪んでしまうと言っているのだと思います。
ですが、これは骨盤矯正をする理由には関係がありません。
靭帯が緩くなっているのはホルモンも影響なので、時間が経つにつれて、元に戻っていきます。
骨盤矯正の手技にもよるかも知れないので、一概に言うことは出来ませんが、強制しても、骨盤の負担を軽減することには必ずしも繋がらないので、産後に骨盤矯正を受けないといけない訳ではないと思います。
身体が辛いときに、信頼しているセラピストに身体をみてもらうことは時に必要です。しかし、それが骨盤矯正を受けることとイコールではないと言うことを知っておいて欲しいと思います。
むしろ産後に重要なのは、重たい物を持ち上げたりなど腹圧を一気に上げてしまうような動作をしてしまったりすることをさけたり、場合によってはベルトなどを利用して、骨盤にかかる負担を逃してあげることが重要であると思います。
重要なのは傾きの修正と全体のバランス
今回は骨盤矯正の3つのウソというタイトルで骨盤矯正でよく言われるのは効果に対して解説していきました。
骨盤矯正は歪みに対して行うものですが、歪みは骨盤の傾きで表されるため、人によって骨盤の傾きは異なります。
「まず矯正」ではなく、あなたの骨盤の傾きのタイプに合わせた方法を選択する必要があります。
今まで骨盤矯正に効果を感じていなかった方や、骨盤矯正って実際なんだろう?と感じていた方の参考になればと思います。