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産後に骨盤矯正は必要か?

今回は骨盤の歪み問題でよく聞く、「産後は骨盤が歪みやすい」「産後には骨盤矯正した方がいい」という問題について、解剖学、運動学的に解説していきます。


今回の内容をまとめるとこんな感じ

•産後に骨盤は緩むのか?

•産後に気をつけないといけないこと

•産後に必要な骨盤のケア


なぜこの話ができるかと言うと、私は「理学療法士」という資格を所有していますが、その過程で解剖学や運動学に加え、生理学など身体のことについて一通りの知識を学んできました。


今回の記事が、悩んでいる方のお役に立てるものと思います。


まず、本題に入る前にお伝えしておくと、産後の身体にはケアは必要だと思っています。


そのケアの方法が、骨盤矯正である必要かあるかどうかについては、本編を読んでみてください。

では、どうぞ!


赤ちゃんを産むための身体の変化

結論ですが、産後に骨盤は緩みます。


それは出産時に赤ちゃんが産道を通りやすくするために、骨盤周囲の靭帯や筋肉が緩んで骨盤を開きやすくしているためです。


この反応は、主にホルモンが関係していますが、ホルモンの話はここでは割愛します。

時期は母乳育児か、そうでないかによっても異なると言われていますが、概ね母乳をやめてから1〜3ヵ月と言われています。

参考↓


このホルモンの働きによって、骨盤は通常よりも大きな可動性がある状態になっています。


可動性があると言われると、悪いイメージが湧きにくいですが、過剰な可動性は不安定性を強めるため、周囲の筋肉の負担や靭帯などの軟部組織の伸張を強めてしまうため、身体にとっては柔らかすぎるのも問題です。


ここで大事なことは、「産後しばらくは靭帯や筋肉が、ホルモンの影響で緩んでいますが、時間が経つにつれて戻る」ということです。


産後に気をつけないといけないことはなに?

産後で気をつけないといけないことは、ホルモンバランスが整って骨盤周囲の靭帯の硬さが戻るまで、なるべく骨盤に負担をかけないことです。


骨盤の関節には、仙腸関節と恥骨結合と呼ばれるものがあります。

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仙腸関節の役割は、「荷重の分散」です。要するに足にかかった重さを身体の全身に分散するサスペンションの様な働きがあります。


恥骨結合は一般的な関節の枠組みで言うと、関節ではなく、あくまで骨と骨がくっついている状態のことを指します。

明確な役割については筆者は存じませんが、主に恥骨は内転筋群の付着部位であることから、恥骨結合の安定性は、内転筋の働きと関係があるように思います。


産後ではこの二つの関節部周辺の軟部組織が緩んでいる状態になります。


仙腸関節においては、荷重を分散するサスペンションが緩くなっているので、適切に荷重を分散することができず、身体の一部に負担が集中する可能性があります。


恥骨結合においては、内転筋の活動に関係すると予想されるため、股関節の安定性が低下し、周囲の筋やその他の関節の負担が増大する可能性が考えられます。


特に骨盤は上下に腰や股関節といった大きな関節に挟まれているため、骨盤の可動性が増大すると、これらの関節が動きを固定するため周囲の筋肉が過剰に働き、負担を強めてしまうことで、腰痛や股関節・膝痛を引き起こす可能性があります。


そのため重要なことは、まず重たいものを持ったりなどの荷重がかかる動作を避けることが重要です。


ただし、産後は何かと忙しく、家庭環境によってはどうしても重たいものを持たなければならない状況もあると思います。その場合は、緩んでしまっている骨盤周辺の軟部組織の不安定性を保証してあげることが重要です。


有名なものでは「骨盤ベルト」と呼ばれるものが一般的かと思います。

産婦人科でも出産後にベルトの使用は進められていることもあります。

産後に必要なケアの方法は?

以上のことから、まとめると産後に必要なことは、「骨盤への負担を減らすこと」です。


では最初の話に戻って、骨盤矯正に骨盤の負担を減らす作用はあるのか?と言う点についてですが、これは正直言ってなんとも言えないです。


骨盤矯正の手技は様々あるので、中には骨盤の負担を減らすためのアプローチもあるかもしれません。


ここで言えることは、「手で骨盤を元の位置に矯正できたとしても、靭帯が緩んでいるのだから効果としては不明」と言うことです。


そのため、骨盤の負担を減らすと言う目的で行うのであれば、骨盤ベルトの使用が個人的には良いのではないかと思います。


骨盤ベルトもつける位置によって、補助できる部位が異なることはご存知でしょうか?


先ほど説明した仙腸関節に対しての負担減らす目的であれば、骨盤の「上前腸骨棘」と呼ばれる場所を目印に、少し下をの高さを圧迫するようにします。

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上前腸骨棘の位置は、正面で骨盤の一番出っ張っている場所があるので、その位置になります。

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恥骨結合への負担を減らすためには、「大転子」と呼ばれる場所の高さでベルトを巻いてみましょう。

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大転子の場所は大腿骨(太ももの骨)の外側にある、骨の出っ張りがそれになります。

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ベルトの太さや硬さは商品によっても様々あるので、製品によっては圧迫が難しいものもあるかもしれません。

ベルトを巻くことで痛みが強くなる場合は、使用を控えた方がいいと思います。

基本的には気になることがあれば、まず産婦人科の先生に相談・受診することが良いと思います。

最後に

産後では、骨盤の変化以外にも、消耗した身体で子供を育てるストレスや、ちゃんと育てることができるかわからない不安など、本当に様々なことが変化しています。


私は男なので、出産の痛みは正直わかりません。ですが、子供を頑張って産んでくれ、頼りない旦那にも文句を言わず、子供を一緒に育ててくれている妻を間近に見て、本当に凄いと尊敬しています。


その身体の不調は、骨盤が緩んだから起こったわけではなく、家庭環境や元々の運動習慣や身体の柔軟性など、様々な要因が関係しているため、骨盤矯正だけで解決できるものではないと言うことを知っていただきたいと思います。


ここで混同しないでいただきたいのは、産後の骨盤が緩んでいる状態では身体の不調は起こりやすいことは事実で、身体の不調を良くするために整体に通ったり、自分でケアをすること自体を否定しているわけではないと言うことです。


でもそれを「骨盤を矯正しないと良くならないもの」と考えてしまうのはよくないことだと思います。


正しい知識を持って、誤った情報に踊らされないようにしていきましょう。



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