エレファント・マン(1980)
19世紀末のロンドンを舞台に実在した奇形の青年ジョン・メリックの悲劇の人生を、「イレーザーヘッド」のデビッド・リンチ監督が描き、鬼才リンチの名を世界にとどろかせた名作。見世物小屋で「エレファント・マン」として暮らしていた青年メリックの前に、ある日、外科医のトリーヴスという男が現れる。メリックの特異な容姿に興味を持ったトリーヴスは、メリックを研究材料にするため、自分が勤める病院に連れ帰ることに。何も話さず怯え続けるメリックを、周囲は知能が低いと思っていた。しかしある時、メリックが知性にあふれた優しい性格であることが判明するが……。日本では1981年に初公開。作品誕生25周年を記念した2004年にはニュープリント版、本国公開から40年を迎えた2020年には4K修復版でそれぞれリバイバル公開された。映画.com
素晴らしい作品でした。
次の日は顔が浮腫きっていました。
この作品も有名ですね。近くの映画館でもリバイバル上映されていましたが その時は気持ちが追い付かずに観ずにいました。過去にも何度か観ようとしたんですが気持ちがあまりに揺さぶられそうで…。
本当に胸が締め付けられる感動でした。。
メリックが声を絞り出しながら聖書の一節を読み上げる場面は特に。
エレファント・マンという存在、そのジョゼフ・メリックの人生などは映画以外でも知るときがあって何となくは知っていました。
映画ではなく実際のジョゼフ・メリック自身は、あまりに酷い福祉施設から出て行くために見世物興行の世界へ入っていったそうです。
今では考えられない【見世物小屋】ですが、そこにしか居場所がなかった人たちもいたんですよね。
彼の生きた時代には当たり前にあったような見世物小屋や、サーカス。
そこでしか生きていけなかった人々。
そこでスターになった人々。
酷い環境や動物のような扱いの中でもパフォーマーとして個性を確立してきた人々。
そしてそれを取り巻く『人間』の醜い不愉快さ。
見世物小屋に限らず現代でも一部の『人間』によって起きているアソビ。
映画の中でも本当にウンザリする場面がしっかりあります。
エレファント・マンに関連するような映画でずいぶん昔の【フリークス(怪物園)】も以前観たんですが、本当の醜悪さは人間性の問題だなと思わずにいられませんでした。
映画の中で、病院の部屋で暮らしながら、上流階級の人々と交流を持つようになったメリックを、また『見世物』にしているんじゃないかと悩む医師の葛藤も描いていて、人によっては同じだと思う人もいるだろうし、どちらが正解だとかじゃないのかもしれない。
でも病気自体やその人自身を知るというのは凄く大事だと思います。
もちろん、それを本人が望んでいて適切な環境で苦痛や屈辱的な状態ではない事が前提であると思いますが。
難しい事もたくさんあって簡単にはいかないんでしょうけど。
人って本当に複雑で多種多様で内面なんて宇宙的に未知の部分が多いと思うんです。
人間性の素晴らしさって肉体や社会的な物事では判断できないんじゃないかと思うし、それを感じたり見出すのもやっぱり人間性なんだろうなと…。